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Dark gray with dark clouds
俺たちがお付き合いを始めたことは、衛宮くんと一緒にいるようにしてるのもあって、1ヶ月近く経った今では周知の事実というか…そんな感じになった。と、思う。けど、ほんとに付き合ってる? って聞かれることも、まぁなくはない。
「…ほんとに付き合ってるんですね」
久々に会った柳木くんの開口一番がこれだったしね。
「うんまぁ、そうだね」
「衛宮が何か失礼なことしてませんか?」
「おい、柳木」
衛宮くんがちょっと不機嫌な声を出した。
「えっとねぇ、この前アイス食べたーいって言ったら『腹壊してぇのか』って言われた」
「衛宮ァァアアァ!!」
「柳木 怖っ!! ってかバラすなよ!」
「女王様に命令すんな!!」
「あとねぇ、小せぇな、って言われた」
「衛宮!! 小柄なのが可愛らしいんだろうがァ!! そんなことも分かんないなら彼氏失格だぞ!!」
「…柳木が怖ぇよ…」
うん。柳木くん好き。
「けど今まで付き合ったことないタイプだし、なるべく楽しんでいこうとは思ってるよ」
「さすがです、女王様」
「俺との対応の差は何…?」
「は? 女王様と衛宮は同じじゃないから」
柳木くんのこういうハッキリしてるとこいいなぁ。すごくいい。
「俺、柳木くんが友達で良かった」
「えっ!? なん、え、あ、きょ、恐縮ですっ!!」
「動揺し過ぎだろ」
「衛宮ちょっと黙って。俺は女王様の言葉を噛み締めてるから」
柳木くんほんとにじっくり噛み締めてる感じがするよ…。
「衛宮は友達だけど、俺は女王様も大事なので、何かあったら言ってくださいね。俺が衛宮叱ります」
「おい、柳木」
「ありがとう。頼りにしてるね」
「はいっ!!」
「柳木に愛嬌振り撒きすぎじゃね?」
「うわ、衛宮が一人前に嫉妬してる」
「一人前ってどういう意味だコラ」
付き合ってるのに『衛宮くん』って呼んでるのも何かあれかなぁ。でも衛宮くんも俺のこと『相瀬』って呼ぶし、まぁこんなもんか。
「ねぇ、柳木くん」
「はいっ!!」
柳木くんを呼ぶと、衛宮くんの顔をぐいっと押し退けて元気な返事。
「俺まだ衛宮くんのことよく知らないから、色々相談のってね」
「もちろんです!! お任せくださいっ!」
「はぁ? 俺のことなら俺に聞けばいいんじゃねーの?」
「衛宮ってほんと鈍い。本人に聞きづらいことだってあるだろ。言っとくけど、ふたりがケンカしたら俺は女王様の味方しかしないからな」
「おかしくね!?」
「おかしくない」
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