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第143話

俺って自分のことなのに、自分の周りのことよく知らないんだな。 知ったからって何ができるとかじゃないけど。 「相瀬って自分のファン把握してねぇの?」 「してるわけないじゃん。誰がどうとか知らないし」 「そりゃそうだけど…」 「めんどくさいって思ってるでしょ」 「う…まぁ、その、正直思ってる…」 柳木くんが不快そうに見てるよ。 「でも俺にはどうにもできないもん」 「公認のファンクラブ作って把握すればいいんじゃねぇの?」 「公認のファンクラブって痛くない? 俺ただの一般市民だよ?」 「んなもん卒業しちまえばそこで終わりじゃん」 「それまでまだ2年はあるけど」 「めんどくせぇんだろ」 俺は衛宮くんを見た。 「さっきから何なの? 付き合うのめんどくさいなら別れようよ」 「何でそんな簡単に別れるとか言えるんだよ」 「ねぇ柳木くん、この人めんどくさい」 「ほんとですね」 「おい柳木!」 柳木くんが、やれやれとため息をついた。 「衛宮、自分の都合のいいように女王様を扱おうとするのはダメだよ。ファンを女王様が把握してれば自分に面倒なことは起きない、って思ってるでしょ」 「………」 黙るなよ。 「黙るな」 あ、柳木くんも同じこと思ってた。 「俺、柳木くんのとこは公認にしとくね。痛いとか別にいいや。後で誰が入ってるか教えて」 「ありがとうございます!! みんな喜びます!」 「他のも公認にしろよ」 「は? 誰に命令してんの?」 「衛宮黙って」 「おかしくね!?」 おかしくない。 「ひとつするならふたつもみっつも変わんねーだろ?」 「あのさぁ、俺は団体としては柳木くんのとこしか知らないんだよね。そもそも団体なのか個人なのかも知らないし、そんなの全部把握できるわけないじゃん。だったら自分でやってくれる?」 「何で俺が!?」 「把握しろしろうるさいから」 「しろとは言ってねーじゃん」 「言ってるも同じでしょ」 「相瀬が無頓着だからだろ」 「自分のファンが何人で~とか知ってたら気持ち悪いけど。最強のナルシシストじゃん。俺のことそんな風に思ってたんだ、へぇ~」 「そんなこと言ってねーだろ!」 「言ってるのと同じ」 あぁもうやだ。 教室戻ろ。って腰を上げると、腕を掴まれた。 「離してくれる?」 「話まだ終わってねぇだろ。このまま放ったらかしとくのかよ」 「放ったらかしといて困るの自分だからそんなムキになってるんだよね」 衛宮くんの顔が、ぐわりと歪んだ。

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