「…説教かよ」 「そんなんじゃないよ」 でも、俺のせいでこの２人の仲を壊すのも、嫌だ。 でも…。 「あれぇ～、空気重いねぇ～。どうしたのぉ～？」 そこへ、ひどく能天気な声が降ってきた。 この特徴的な喋りは茅ヶ崎しかいない。っていうか、声がもう茅ヶ崎だから分かるけど。 「お前には関係ない」 ピシャッとはね除けたのは衛宮くん。 「あっはっはぁ～、不機嫌～。そんな衛宮くんに教えてあげるねぇ～。女王様はぁ、『お前』って呼ぶ人嫌いだからねぇ～、気を付けた方がいいよぉ～」 そうなんだよねー。 「それよりさぁ～、今日の放課後ちょっと付き合わなぁい～？ 柳木くんもぉ」 「うん、いいよ」 「何で俺がおま…茅ヶ崎と？」 「もぉ～。衛宮くんってぇ～、女王様と付き合い始めてから性格悪くなってなぁい～？」 「は？ 何それ俺のせいって言いたいの？」 聞き捨てならん。 「女王様のせいじゃないよぉ～。あれ、でもある意味では女王様のせい～？」 「何でだよ」 「だってぇ～、女王様が衛宮くんのことまだ完全に好きじゃないからぁ～、ちょっと焦ってる感じあるもん～」 茅ヶ崎にもバレてた。 でもそれ多分 今は地雷。 「…うるせぇな」 ほらぁー。 「うふふ～。図星ぃ～？」 「ちょっと茅ヶ崎やめてよ」 「じゃあどうしたら好きになってくれるんだよ」 「そんなの本人に聞いちゃいけないよぉ～。愛情っていうのはぁ、育てるものだからねぇ～」 まさか茅ヶ崎の口からそんな言葉が出るとは。 相手の腕の自由を奪って好き勝手体をいじってぐっちゃぐちゃのどっろどろにして焦らしまくって遊ぶ茅ヶ崎の口からそんな言葉が出るとは。 「女王様びっくりした顔もすごぉく可愛いけどびっくりし過ぎじゃなぁいぃ～？」 「え、顔に出てた？」 「すごい出てたぁ～」 「だって茅ヶ崎の口からあんな言葉が…」 「うん～、僕だってたまにはいいこと言うからねぇ～」 『たまには』なのは自覚してるんだ。 「女王様はさぁ～、自由奔放で天真爛漫なのが可愛いんだよねぇ～。それを抑えつけるような付き合いしてたらぁ、僕たち黙ってないからねぇ～？」 「…めんどくせぇんだよ、そういうの」 「なら別れればいいじゃぁん。黙ってない相手がうじゃうじゃいる中で自分が選ばれてぇ～、可愛い笑顔もワガママも独り占めできてぇ～、自分にしか甘えないとかすっごぉ～い幸せぇ～！！って思えないならぁ、向いてないよ、女王様と付き合うの」