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第148話
だけど、どうすればいいのか分からない。
自分の気持ちは自分でしか決められない。
曖昧なまま頷いてしまった俺が悪い。
「…誰かと付き合うって難しいよね」
「そうだねぇ~。僕まともに付き合ったことないしぃ~、付き合うの向いてないしぃ~」
「え、あ、俺も付き合ったことないから、あの、すごく難しいと思います!」
…気を遣わせてしまった。
「…1回別れて、とかは無理そうだし…」
「女王様に執着はあるもんねぇ~」
「ライバルが多いから…」
柳木くんの言う通り、衛宮くんと付き合い始めても告白はあったし、今でもある。
香月さんと付き合ってる時もあったけど、その時とはまた違うんだ。
もちろんそれには応えてないけど。
「とりあえず教室戻るね。ごめんね、柳木くん」
「そんな…、あの、衛宮のことは俺に任せてくださいっ」
「ありがとう。…柳木くんがいてくれてよかった」
「きょっ恐縮ですっ」
柳木くんに手を振って、茅ヶ崎と一緒に教室へ向かう。
「…ふたりに甘えなくていいのぉ~? 大丈夫ぅ~?」
茅ヶ崎がちょっと心配そうな顔をしてるから、きっと今の俺はそうなるだけの顔をしてるんだろう。
でも。
「甘えたいし、甘やかしてほしい。でもそれはダメでしょ。…他の人を頼ったらダメだよ」
茅ヶ崎が口を閉じて俺を見た。
「……つきあってるのは衛宮くんだから、って思ってるんだよねぇ~。女王様はぁ~、好きって言えない自分に負い目があるみたいに見えるよぉ~」
俺は少しハッとした。
負い目。
「同じ気持ちじゃなきゃいけない、って思ってなぁいぃ~? そもそも『同じ気持ち』ってなぁにぃ~?」
「…好き、ってこと…なんじゃないの…?」
「でもぉ~、言葉は同じでも込められてるものは違うことがあるよぉ~。だって女王様、柳木くんのこと好きでしょぉ~?」
「それは、友達として」
「うん~。でも『好き』は『好き』じゃぁん。で、柳木くんも女王様のこと好きだよぉ~。柳木くんの好きは友情もあるけど偶像崇拝みたいな意味合いが強そうだよねぇ~。けどここは両想いでしょぉ~? どっちも相手が友達として好きなんだもん~」
「それは…」
そうなるの? いや、でもそうか。ある意味 両想いか。
「衛宮くんの好きはぁ~、性欲込みの『好き』なんだよねぇ~。女王様はその『好き』と同じにならないといけないと思ってなぁいぃ~?」
「そ、」
「そんなの最初からなんて無理だよぉ~。気持ちに差があるのはさぁ、ある意味仕方ないと僕は思うなぁ~」
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