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第151話

千歳…肩を震わせて笑ってる。めっちゃ頑張って堪えてるみたいだけど、バレてるよ。 俺はまだドキドキしている胸を押さえた。 …ほんとにびっくりした…。 百からあんなセリフが出るなんて…。ちょっと憂いを帯びた表情とか甘い柔らかい声とか…正直頷いちゃいそうだったよね…。 百、恐ろしい子…。 「蜜は色々考えすぎるとこがあるからな」 「だって…」 「ケンカでもした?」 「うん…そんな感じ。でもこればっかりは、俺が、まだ気持ちが…」 「まぁ、向こうの焦りもあると思うけど」 百が俺の髪を撫でる。 千歳も、握ったままの俺の手を親指の腹で優しく撫でた。 結局 甘えてしまうし、甘やかされてしまう。ダメなのに…。 「こうやって甘えるのも、やめようって思ってたのに…」 「付き合ってるから遠慮してるのは知ってるし、そういう蜜の意思を尊重したい気持ちもある。けど、さっきみたいな途方にくれたような迷子みたいな顔してたら、どうしたって俺たちは構わずにはいられないからな」 「千歳…」 「甘やかしたくなるじゃん?」 百まで。 嬉しいのに…いいのかな、って不安にもなる。だけどここが安心する。 俺の心は複雑に絡まってしまっている。 中途半端な気持ちで、衛宮くんの隣にいてもいいのかな…。別れないとは言われてるけど…あれは何だかムキになってる感じもしたし…。 考えててもしょうがないから、俺が向き合わないといけないんだ。  分かってるけど…。 こういうことを、ふたりで乗り越えたらまた何か変わるのかな。 俺に変わってほしいっていう衛宮くんの気持ちが分からないではない。でもそれはムリだと思う。性格変えるのって、今まで生きてきたのと同じだけ時間がかかる、って聞いたことある。 ほぼほぼ不可能じゃん。 茅ヶ崎が言ったみたいに衛宮くんのことを本気で好きになったら…そしたら変わろうとするのかも知れないけど…。 「…俺、自分で、俺と付き合うのってめんどくさいんだな、って気づいたの。俺と付き合うと、俺だけじゃなくて他の人の感情も絡まってきて…それは付き合うには全然関係ない人たちなんだけど…」 「関係ないなら気にしなければいい」 「でも…」 「それをめんどくさいって相手が思うのは、相手の事情なんじゃないか?」 「……うん」 俺が、まだ『好き』って言えないから。 「少なくとも蜜は、今までより真剣に考えて答えを出そうとしてたように見えたけど?」 「それでも…傷つけてることに変わりないもん」

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