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第160話
そんなの無駄ですよね、と呟いた俺に、須賀谷くんは笑った。
気をつけて帰るように言われて電話を切った俺は、とりあえず平手打ちされたところがじんじん痛み出したから自販機で缶ジュースを買うことにした。
冷やしながら電車を待って、明日からどうするかをぼんやり考える。
衛宮とも女王様たちとも、一度距離を置く。でも女王様たちとは、表面上だけだ。
俺が衛宮にできることは、多分ない。衛宮は俺を下に見てるし、女王様とのことに関しては『邪魔でうざい団体』くらいに見てるから。
衛宮の前でスマホいじるのも、多分控えた方がいいんだろうな。…めんどくさいな。
けど我が身は可愛いから。
やって来た電車に乗り込んで最寄り駅に着いた俺は、まっすぐ家へ帰った。
それから無事に着いたことを須賀谷くんに連絡して、今度は愛で隊のグループLINEを開く。
事情はまだ言えないけど、衛宮に警戒してほしいこと。メンバーだとバレないように行動してほしいこと。それだけをトークルームに投下する。
それから、サブリーダーを務めてくれているメンバーにだけは詳細を知らせることにした。
その彼からはすぐに電話がかかってきた。
『柳木 大丈夫なのかよ!?』
「俺は大丈夫。みんなにも気をつけてほしくて」
『女王様は大丈夫なのか?』
「藤棚くんも須賀谷くんも茅ヶ崎もいるし、あそこはクラスみんなが女王様を守ってくれてるから」
『そっか…なら安心だな』
「壮真(そうま)くんも気をつけてね」
『俺はほら、一応キックボクシングやってっから』
「あ、そっか」
心配なかった。
壮真くんはめちゃくちゃ強いんだった。
『…柳木さぁ、しばらく昼休みとかこっち来る?』
「ううん。他のメンバーがバレると怖いから、下手に動かないでおく。これからは面倒でもトークルームとかも1回1回削除するつもりでいるし」
『そんなに徹底して?』
「メンバーを守るのもリーダーの努めでしょ!」
『そうだけど…。ま、メンバー想いのリーダーなのは俺らも幸せだけどな。でも自分の身は守れよ?』
「須賀谷くんにも言われたから、ちゃんと気を付ける」
『何かあったら頼れよな』
「うん、ありがとう。壮真くん」
リーダー想いのメンバーで俺も幸せだな、って思うよ。
だからこそ、守らないと。責任(?)の一端は俺にもある。
あ、そうだ。
「そう言えば今日、女王様公認の団体になったよ」
呑気な俺の声の後、壮真くんの絶叫が響き渡った。
『……!? そっ……まっ、まずそれを先に言え―――――ッッ!!』
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