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第175話
気が短いな、って百は笑うけど…。笑い事じゃなくない?
「俺の許可なく傷作ってきたらダメだからね」
「大丈夫だって。今も別に傷もケガもないし。何なら確認してみるか?」
イタズラっぽく笑って制服のネクタイを緩めた百の首もとから、鎖骨がチラリとお目見えする。
そういうタイミングを逃さないのだ~れだっ!
そう!
「僕が代わりに全身チェックしてあげるぅ~」
茅ヶ崎でしたぁ!!
「絶対させないから」
「えぇ~?」
「そんな不満げな顔してもダメなものはダメ! 百と千歳にそういうことしていいの俺だけだから」
「女王様の独占欲 可愛いよねぇ~」
「当たり前でしょ。俺だよ?」
「じゃあ藤くんの全身チェックするぅ~?」
「しないけど。するにしても茅ヶ崎の目の前ですると思う? いや、思わないね」
「反語ぉ~」
女王様と茅ヶ崎は仲良しだな、って言いながら委員長が笑ってる。
「僕はもっと仲良くなりたいんだけどねぇ~」
「茅ヶ崎の『仲良く』って、絶対えっちな『仲良く』じゃん」
「ふふ。女王様 僕とえっちなことして仲良くなりたいのぉ?」
「んなわけないでしょ」
「寄るなセクハラ魔」
「須賀谷くんひどぉいぃ~」
千歳ガードが発動した。
「ひどくない」
「強かだなー、茅ヶ崎」
百はケラケラ笑ってる。
笑い事じゃないだろ、って呆れ顔の千歳に突っ込まれてまた笑ってた。
大丈夫そうでよかった。百に傷のひとつもつけてたら夜道に背後から奇襲かけるところだったわ。
「そもそもあの2人は何であんなことになってたんだ?」
千歳が茅ヶ崎から俺をガードしたまま百に尋ねた。どうやら気を抜かない構えのようだ。
「どうも蜜を待ってたとこに先輩が声かけたみたいだな。何て言ったかまでは分かんねーけど、まぁ、端から見てて態度とか蜜の扱い?とか、そういうのを改めた方がいい、みたいなことを言ったんじゃねぇかな。で、振られたやつが口出してくんじゃねーよ的な?」
「先人のアドバイスも素直に聞けないとはねぇ~」
「先人って言う? これ。言いたいことは分かるけどさ」
「蜜の彼氏俺だから。って思ってるからじゃねーの?」
「振られるのにねぇ~。ってかもう振られてるけどねぇ~。気持ちの上でぇ~」
そうだねぇ。俺の彼氏 衛宮くんじゃないしねぇ。気持ちの上で。
けどまぁ、明確に別れてないのは確かだし。
結局何か…百と千歳が好きなのに、浮気してたみたいなもんだよね、ほんとに。
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