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Majestic gold

結論として、茅ヶ崎は衛宮くんに突撃………………しませんでした。 俺のスマホはしつこいくらいLINEの通知音鳴らしてたからoffにしちゃった。 「…なんかねぇ、反省した」 「どうした急に」 千歳に突っ込まれた俺は、物憂げなため息をついた。 「流されて押されて付き合っちゃダメだね、俺は」 「って言うかぁ、そもそもいい男が身近に2人もいてぇ~、息をするようにハグとかキスとか出来ちゃう時点でぇ~、彼氏とかいらなくなぁい~? ってことに気づこうよぉ~」 「それはそうなんだけどさぁ、俺はふたりといつかは離れないといけないって思ってたから」 「何でぇ? あんなに甘えてて離れられるわけないじゃぁん~」 「……俺に彼氏がいたように、ふたりにも彼女がいた時期があったからだよ。そういう風に…それぞれ大事な人を見つけて行くんだ、って思ってたから…」 「女王様が健気…可愛い…」 「俺が可愛いのは当たり前って何回言ったら分かるの?」 それは揺るぎない事実なんだよね。 「藤くんも須賀谷くんも、彼女いた時期に女王様が淋しがってるのは気づいてたのぉ~?」 「あー、うん。まぁ」 「そうだな」 バレてたんだよねー。 「だからそれ以来フリーなのぉ?」 「隠れて泣かれたらなー」 「いつもワガママ女王様なのにこっそり泣いちゃうのも可愛いしな」 「ふぅん? ふたりはその頃から女王様のこと好きだったのぉ~? 恋愛的な意味で」 「どうだろ。その頃はまだ単純に、ワガママで気ぃ強いのに危なっかしいな、くらいの庇護欲みたいな?感じだったかもな」 そうだな、って千歳が頷く。 その庇護欲のお陰で俺は何度も助けてもらってたわけだけれども。 「え、じゃあいつから恋愛的な感情で見てたのぉ~?」 「「いつから…」」 ふたりが顔を見合わせた。 え、そこ曖昧なの? 俺も人のことは言えないけど。 「え、千歳いつから?」 「俺に聞くか?」 「他に聞く相手いないし」 「確かに」 納得しちゃったよ。 「明確にいつとかあんまり……ないな」 百の言葉に千歳も頷く。 「笹山先輩と付き合ってた時はどうだったのぉ~? 平気ぃ?」 「俺は元々賛成してなかったから。今だから言うけど、顔で選んで猫被ってたからすぐ終わると思ってたし」 「基本、蜜がいいならいい、ってスタンスだからな」 「それは女王様をよく知ってるっていう余裕と自信から来るものだねぇ~」

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