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第179話
俺は、みんなが何の理由もなくそういうことをするとは思ってない。理由があったらしてもいいとは言わないけど、これに関してはきっと、俺を守ろうという意図があったんじゃないか、って思うんだよね。
そこは確認してみないと何とも言えないけど。
「…衛宮くんは、それでどうしたいの?」
俺がLINE無視してるのに怒ってるのか、身辺洗い出されたことに怒ってるのか、それとも両方なのか。その上で、何を求めてるのか。
「こんな最低なやつらとつるむのやめとけ。相瀬の価値まで下がるぞ」
俺の価値って何?
それを決めるのは俺なんだよね。他人が決めていいことじゃないんだよ。
「あのさぁ、それが事実だろうと事実じゃなかろうと、誰といるかを決めるのは俺だよね。俺の価値とか他人にいちいち口出されたくないし」
「――は?」
何でそこで不機嫌になるの?
「バッカだねぇ~。まだ分かんないのぉ~? 女王様を思い通りに動かそうなんて、あんたには到底不可能ってこと。信頼も愛情も向けられてないもん。ムリムリ。諦めな~」
ぺっぺと手を振る茅ヶ崎。
めっちゃ言うじゃん。どんだけ嫌いなの、衛宮くんのこと。
「とりあえず、まずは事実確認してから。それから考える。ついでに言うと、俺 衛宮くんと別れたいから」
「――…は?」
声のトーンがぐっと下がった。
「そういうとこ。そうやって脅すような雰囲気出すとこ。そういうのが嫌いなの。話は昼休みね。まずは皆に話聞くから」
もうじきチャイムも鳴るし、そしたら自分の教室に戻るでしょ。次の休み時間にみんなから話聞いて…それから考えよう。
「おい、ふざけてんじゃねぇぞ」
「あ~らら、言われた端から忘れちゃうのぉ~? 頭に詰まってんの脳ミソじゃなくて豆腐なのかなぁ~」
「てめぇいちいち煩ぇんだよ。黙れ」
「だ・か・らぁ~、僕に命令出来ると思わないでくれるかなぁ~? クッソうざぁ~いっ」
きゃはっ、って笑う茅ヶ崎は、絶対に衛宮くんをバカにして遊んでいる。
「うぜぇのはてめぇだろうが!」
「すぐ怒鳴る人嫌い。自分の思い通りに俺をコントロールしたいんだよね? そういうの無理だから。昼休みじゃなくて今でいいや。別れよ。ちょっと距離置きたいとか思ってたけど、そういうことなら距離置くとか面倒なことしてないで今すぐ別れる」
「…相瀬に決定権あると思ってんのかよ」
「思ってるよ。そんな姿見せておいてまだ付き合ってくつもりでいたの? 頭悪い」
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