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第182話
しっしっ、と手で追い払う仕草に益々眉を吊り上げた衛宮くんの背後に、先生の姿が見えた。
あれ、もうチャイム鳴ったかな。
「おっ、何だ修羅場か?」
それで何で先生はちょっと楽しそうなの?
「相瀬はあんまり男運ねぇなー」
「うわ、何この人」
「いっつも両側にいい男従えてるのになー」
ふーん。先生から見てもいい男なんだな。
まぁでも。
「男運については解決したからもーいいんですぅー」
両側のいい男と付き合うんだもん。
「じゃあ何が解決してねーの?」
「んー、別れ話」
「別れ話か。まぁあれだ。恋愛事は引き際も肝心だからな」
先生はそう言って、ポン、と衛宮くんの肩を叩くと「授業 始まるぞー」と言ってドアを閉めた。っていうか先生、なかなかに失礼なこと言ってたよね、衛宮くんに。
「相瀬って何でああいうのに惚れられるんだろうな」
「そんなの俺が知りたいです」
ほんとに知りたい。
天使のように可愛いからしょうがないのかなぁ。
授業の準備をしつつ、これからどうしようかな、なんて考える。
まだ衛宮くんと話さないとダメかな。もう終わりにしてくれないかな…。
別れるのって結構 体力も気力もつかう。
香月さんはえっちをしたかったからなんだけど、衛宮くんは何かそういう目的?みたいなのってあるのかな。
まぁ、キスすら出来なかったし、ハグとか、そこまでしか出来なかったから…。いずれはえっちとかしたいようなことも、最初に確認した時 言ってたし。やっぱりそこ?
えっちかぁ…。うーん…。
そういうの、無意識の怖さもあって、全然考えられないんだよな…。
でも…百と千歳とも、いずれはそういうこと、するようになる、かもだし…。
ってゆーか、3人ってどうやるんだろ…。いやまぁそこはすぐじゃないし、今考えなくていいや。
とりあえず衛宮くんだよな。
…衛宮くんも、俺のこと本気で好きなんだとは、ちょっと思えないんだよな…。すごいぐいぐい来るけど、純粋な愛情とはちょっと違う感じがする。
やっぱりあれかなぁ。パートナーとかをコントロールしたいタイプなのかなぁ。全部把握しておきたい、ってタイプの人いるよね。俺はどうしてもそういうのは理解できないんだけど。
こぼれたため息に、千歳が笑う。
あぁ、心に潤いが足りない。
次の休み時間はみんなから話聞かなきゃ。衛宮くんの身辺を洗い出したのが事実なのか、だとしたらそこにどんな理由があったのか。
…ま、さっきので何となく理由は分かったけどね。
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