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第183話

――と、いうわけで。 「事実確認したいから、とりあえず話聞かせてよ」 授業が終わってから、千歳の膝に乗り上げてみんなに声をかけた。 「ってゆーか、衛宮くんの身辺洗い出したのは事実なんじゃないのかなー、とは思ってるんだけどね」 俺がそう言うと、みんなはチラッとそれぞれ目を合わせる。千歳は無表情だし、百は穏やかに微笑んでるし、このふたりは読めない。 「どうなの? 委員長」 なので委員長に投げ掛ける。委員長はこっちを――正確には百と千歳を見た。 「俺から話してもいいのか?」 それは、ふたりへの確認。 「んー。どうしようか、千歳」 「そうだなぁ」 こんなこと言ってるけど、百も千歳も迷ってるとかそういう感じは全然ない。 「蜜に無関係じゃないしな」 「でももう別れたんだから、ある意味では無関係だけどな」 百が軽く笑って言うと、千歳もちょっと笑った。 心に潤いが足りないから、早く話聞いて早くキスしてほしいんだけどな。心を潤す方が先かな。 「衛宮な、柳木から紹介される前から知ってたんだよね、俺たち」 キスしてもらおっかな、って思っていたら、ゆるゆる微笑んだまま百が口を開いた。 「え、何で?」 「蜜のことよく見てたから」 「え」 俺 知らなかった。ってか気づいてなかった。 「でも見てるだけだったから正直そこまで警戒してなかったし、だから一緒に出掛けても何もないだろうな、って油断してたんだよ」 「油断」 つまりあの告白はイレギュラーな?そんな感じの出来事だったってこと? 「え、と…俺が断ると思ってた?」 「うーん…でも蜜は押しに弱いとこがあるから」 「それに突発的な優しさに弱いとこもあるしな」 なるほど。どっちもあったよね。今回。 「何かやけに先を急ぐって言うか、そんな感じもあったから、衛宮ってどんなやつかなー、って」 「それで身辺洗い出したの?」 「いや。衛宮を知ってるやつからちょっと不穏な話聞いたから。あ、衛宮を知ってるやつって柳木じゃないからな」 「不穏な話…」 それって何? 「蜜は相手に尽くすのって割と苦手じゃん」 「うん、そうだね」 俺ワガママだから。尽くせない。 「でもそういうのを求めるタイプって言うか、俺のこと好きならそれくらい出来るだろ?みたいなタイプって言うか」 「あ。無理」 「俺と付き合ってんなら、これするのが当然。みたいな」 「無理無理」 「まぁそういう話が耳に入ってきたから、ちょっとな」

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