183 / 240
第183話
――と、いうわけで。
「事実確認したいから、とりあえず話聞かせてよ」
授業が終わってから、千歳の膝に乗り上げてみんなに声をかけた。
「ってゆーか、衛宮くんの身辺洗い出したのは事実なんじゃないのかなー、とは思ってるんだけどね」
俺がそう言うと、みんなはチラッとそれぞれ目を合わせる。千歳は無表情だし、百は穏やかに微笑んでるし、このふたりは読めない。
「どうなの? 委員長」
なので委員長に投げ掛ける。委員長はこっちを――正確には百と千歳を見た。
「俺から話してもいいのか?」
それは、ふたりへの確認。
「んー。どうしようか、千歳」
「そうだなぁ」
こんなこと言ってるけど、百も千歳も迷ってるとかそういう感じは全然ない。
「蜜に無関係じゃないしな」
「でももう別れたんだから、ある意味では無関係だけどな」
百が軽く笑って言うと、千歳もちょっと笑った。
心に潤いが足りないから、早く話聞いて早くキスしてほしいんだけどな。心を潤す方が先かな。
「衛宮な、柳木から紹介される前から知ってたんだよね、俺たち」
キスしてもらおっかな、って思っていたら、ゆるゆる微笑んだまま百が口を開いた。
「え、何で?」
「蜜のことよく見てたから」
「え」
俺 知らなかった。ってか気づいてなかった。
「でも見てるだけだったから正直そこまで警戒してなかったし、だから一緒に出掛けても何もないだろうな、って油断してたんだよ」
「油断」
つまりあの告白はイレギュラーな?そんな感じの出来事だったってこと?
「え、と…俺が断ると思ってた?」
「うーん…でも蜜は押しに弱いとこがあるから」
「それに突発的な優しさに弱いとこもあるしな」
なるほど。どっちもあったよね。今回。
「何かやけに先を急ぐって言うか、そんな感じもあったから、衛宮ってどんなやつかなー、って」
「それで身辺洗い出したの?」
「いや。衛宮を知ってるやつからちょっと不穏な話聞いたから。あ、衛宮を知ってるやつって柳木じゃないからな」
「不穏な話…」
それって何?
「蜜は相手に尽くすのって割と苦手じゃん」
「うん、そうだね」
俺ワガママだから。尽くせない。
「でもそういうのを求めるタイプって言うか、俺のこと好きならそれくらい出来るだろ?みたいなタイプって言うか」
「あ。無理」
「俺と付き合ってんなら、これするのが当然。みたいな」
「無理無理」
「まぁそういう話が耳に入ってきたから、ちょっとな」
ともだちにシェアしよう!