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第187話
やり直そう的なこと言ってきそうで怖いんだけど、この人。頭の中どうなってるの?
「…相瀬と付き合いたいやつ他にもいてさぁ、安心できるわけねーじゃん。そりゃ焦るだろ」
「……」
それについては俺は何も言えない。
「早く全部欲しいって思うのってダメなのかよ」
「…あのさ、それはもう別の問題って言うか、俺はそれよりも衛宮くんの態度が嫌なんだよね。モラハラって言うか、デートDVって言うか…とにかくそういうの」
「別じゃねーじゃん。それが根本にあるからそうなるんだろ」
そうなの? 分かんない。
「早く全部欲しくて俺の言うこと聞け的な感じになるの? それならなおのことさっさと別れる。それってちゃんと付き合ったって変わんないじゃん。俺のものになったんだから言うこと聞け、ってなるんでしょ?」
「ならねーよ」
「いや、なるよ。絶対なる」
「じゃあ確かめてみれば?」
「嫌だよ。別れたもん」
「別れてねぇって」
うーん、堂々巡り。違うか。
「他に好きな人が出来たから別れて」
「嘘つくな」
「嘘じゃない。本当。衛宮くんと別れたら付き合う約束してるし」
「は?」
ほーら、すーぐ機嫌悪くなるー。そこは俺も人のこと言えないけどさ。
「っていうか、もう今この瞬間から付き合いたいくらい大好きだから別れて」
「はぁ?」
「俺のこと誰より理解してくれて、誰より甘やかしてくれて、他の誰かのものになったら悲しくて苦しくてどうしようもないって思うくらい大好きなの。手離したくないし、誰にも渡したくない。この俺が、ここまで独占欲丸出しにして、ずっとそばにいて欲しいって思うくらい大事で、好きで好きで堪らないの。だから別れて。衛宮くんにはそんな風に思えなかった。それが答えでしょ」
衛宮くんが目を見開いて俺を見てる。そんなにびっくりすること…なのかな。
「…嘘だろ…。相瀬って本気で人のこと好きになれたんだ…」
「どういう意味だコラ」
「だって! 先輩と付き合ってる時も、どこか線引いてただろ。好き!って言いながら、踏み込ませない何かがあっただろ。そういうの、俺すげー腹立つし、しつけ直してやらねーと、と思ってたし、全部自分を任せるって言うかさ、そういうの、相瀬はなかったじゃん。じゃあ相瀬の『好き』って何だよ、って感じじゃん」
「まぁ~じで」
知らなかった。俺って端から見るとそうだったんだ。
「マジだよ! なのに何だよ今の! 何でそんな…何か、満たされたみたいな…そんな…上手く言えねーけど、何でそんな顔すんだよ!」
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