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第188話

それは…俺が千歳と百のことを、ほんとに本気で好きだから…? えっ、急に恥ずかしくなってきた。俺いまどんな顔してるの? 「…何だよその顔。俺といる時そんな顔一度も見せなかっただろ」 「顔については鏡がないからどんなか分かんないけど、でも、大好きな人がいるからもうこれ以上付き合えない」 「誰にも本気にならないなら、俺が本気にさせてみたいって思うのは当然だろ」 「それは…そうかも知れないけど。でも、しつけ直すとか言う人は論外だから。今の俺をそのままぜーんぶ受け入れて愛してくれちゃってる人がいるんだよね。だから他なんていらない」 「どうせいつかダメんなるんだよ、そういうのは。女王様とか呼ばれてるくせに夢見勝ちなの?」 うわ、こいつ鼻で笑いやがった。 「なに言われても負け惜しみにしか聞こえないけどね。そんな風にバカにするんだから別れたっていいでしょ? 引き留めようとも思ってないもんね。じゃ、さよなら」 「っ、待てよ!」 「やだよ。バイバイ」 掴まれそうになった手を振り払って足を進める。 「おい! 勝手なこと言ってんじゃねぇぞ!」 ほらほら、本性が出た。 「痛っ」 肩を掴まれて、無理矢理振り向かされる。腕が振り上げられるのを視界の隅に認めた時、カシャッと気の抜ける音がした。 「DV彼氏の証拠写真ゲットォ~」 気の抜ける声は茅ヶ崎の。茅ヶ崎はスマホを2台構えて生け垣から生えていた。 そして俺は千歳に抱えられていたし、衛宮くんは振り上げた腕をそのまま百に捻り上げられていた。 「てめっ、おい写真消せ!」 「えっ、聞こえなぁ~い」 「っつーかイデデデデデ!! 離せよ藤棚!」 「えっ、聞こえなぁ~い」 「茅ヶ崎かよ!」 「藤棚だけど」 「知ってるわ!!」 笑いそうなんですけど。 「無事だな? 蜜」 「うん。肩痛かったけど大丈夫」 千歳が肩をさすってくれるから、とりあえず甘える俺。 「ってか、何だよお前ら! どこにでもついてくるのかよ! きっもち悪!」 「気持ち悪いのはどっちだよ、って話ぃ~。女王様に暴力振るってどうするつもりだったのぉ~? そのままひんむいてレイプするつもりだったんじゃないのぉ~?」 「なっ…バっ、茅ヶ崎じゃねぇんだからするか! そんなこと!」 「え~? クソ失礼~」 「茅ヶ崎、そのままひんむいてレイプしていいぞ。俺が許す」 「おい須賀谷! 勝手なこと…ってやめろ茅ヶ崎! 脱がすな!! ちょっ…藤棚、腕!」 「腕? 関節外す?」 「怖いわ!! やめろ!!」

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