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Silver knights

別れた。とは言え、このまま何もなく終わるとは思っていない。 思っていない、けど。 「別れると思ってたよ。全然あいつに惚れてなかったでしょ? でさ、俺と付き合うのどう?」 「相瀬の良さを引き出せるのは俺しかいないと思うんだよね。俺と付き合わない?」 「俺なら退屈させないよ?」 その前に、こっちだよね。 千歳と百という、最高で最強の彼氏が出来た今、他の男はお呼びでない。 「好きな人いるから、ごめんなさい」 可愛い笑顔で断ると、目の前の人たちはピシリと固まった。 「えっ…だっ誰!? いつの間に…」 「待って待って! 俺の知ってるやつ!?」 「す、す、好きな人って…」 そんなに驚かなくたっていいじゃん。 「じゃ、失礼しまぁす」 答えて差し上げる義理はないし、いつものように千歳と百を侍らせて背中を向ける。 「あ、間違えちゃった。最高の彼氏いるんでぇ、って言えば良かった」 「完全に間違いってわけでもないんじゃないのか?」 「それはそうなんだけどー。好きな人ではあるけどもう付き合ってるんだし。めちゃくちゃ自慢したいの」 こんないい男ふたりも独り占めだもん。 俺ってば果報者。 その果報者、とりあえず楽しく生きてるんだけど、一応元カレになった衞宮くんを警戒してはいる。 柳木くんに別れたこと言わなきゃー、って思ってたんだけど、それは千歳が、急がなくていいんじゃないか?って言うから。それもそうか、って思ってまだ言ってない。 って言うか、柳木くんに会ってないなぁ。最近。 「何かさぁ、嵐の前の静けさ、じゃないけど…あれから何のアクションもないのが何か…」 「だから蜜はしばらく一人で行動するの禁止な」 「はーい」 千歳の言うことに素直に頷く俺。 「委員長がボディーガード当番作るって張り切ってたな、そう言えば」 「委員長って何でも楽しもうとするところあるよね。っていうか、百と委員長って仲良くない?」 「え、あんまり考えたことないけど」 「絶対そうだよ。柳木くんとだってすぐ仲良くなったしさぁ」 「委員長と柳木は蜜だって仲いいじゃん」 「でも、百ほどじゃないんだよなぁ」 「百にも委員長にも、恋愛感情はないと思うけどな」 それはそうなんだけどね。分かるんだけどね。 「俺は蜜のなんじゃねーの?」 「それは当然。百も千歳も俺のだけど」 「蜜がそう思ってる限りずっとそうだから。なー? 千歳」 「当然だな」

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