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第195話
side 千歳
蜜の目尻に、不安げな色が落ちる。
あれは自分の身の心配じゃなくて、他の――クラスみんなの心配をしているんだろう。
握力ゴリラの茅ヶ崎が、油断してたとは言え傷を作ってきたわけだから。
蜜の隣で、安心させるように背中を撫でる百と目を合わせた。
にこりと微笑んだ百は、俺の言いたいことが分かってるんだと思う。付き合い長いしな。
「何にせよ、用心するに越したことはないな。ところで茅ヶ崎、襲ってきたやつらはどうした?」
俺が聞くと、茅ヶ崎が楽しそうに にんまりと笑った。
「女王様が聞くにはちょっと刺激が強いかなぁ~?」
「え、何それ」
「百、蜜の耳を塞いでてくれ」
「おー」
「えっ、ちょっと」
蜜が「俺も聞く!」って言ってるけどそんなわけにはいかない。茅ヶ崎の言う『刺激が強い』は絶対刺激が強い。聞かせてなるものか。
「蜜はあっちで俺と遊んでような~?」
「ねぇ百、ちっちゃい子じゃないんだけど!」
「蜜は小さくて可愛いじゃん」
「かっ…可愛いのは否定しないけど、小さくない!」
最近、百や俺に『可愛い』って言われると素直に照れる蜜が可愛い。可愛いの権化。
それは置いとくとして。
百が蜜の耳を塞いだのを確認して、促すように茅ヶ崎を見る。
茅ヶ崎はにまにましたまま口を開いた。
「須賀谷くん、女王様めちゃくそ可愛いって思ってたでしょぉ」
「世界一可愛いって毎日思ってるから続きを話せ」
「男前の惚気やばぁ…萌えるぅ…」
「茅ヶ崎」
「えっとねぇ、股間3発くらい蹴ったら大人しくなったから、そのまま腕縛り上げて下半身ひん剥いてちんちん足でいじめてあげたのぉっ」
「で?」
「イきたいって言うからぁ、根本縛り上げて気が済むまでちんちんいじめてきたぁ。すごいのぉ、もうちんちんパンパンでぇ、顔面 涙と鼻水と涎でべっとべとで汚くてぇ、イかせてくださいとか泣いて懇願するからぁ。そのまま置いてきたぁ~。ふふっ」
聞いてたクラスメートから、「…鬼だ…」と呟きが上がった。
「2人とも?」
茅ヶ崎が抜き取ってきた学生証は2枚。
「あ、もう一人はぁ、腕縛り上げた後に持ってたローターちんちんにつけてぇ、お尻にウィンウィン動くオモチャ挿れてあげたぁ~。極太で長いやつ」
何でそんなもの持ってるんだなんて愚問。
茅ヶ崎はそういうやつだ。
「第一発見者が可哀想だ」
心底同情する。
「ん~ほとんど使ってない倉庫に置きっぱなしだからぁ~。第一発見者って誰だろね?」
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