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第196話
楽しそうに笑う茅ヶ崎は本当に鬼なのかもしれない。
今日1日見つからなくてもおかしくないような状況だもんな。
学生証に目を落とせば、2人とも寮生だし。厳密な点呼があるわけでもなし、発見される可能性は極めて低い……ような気がする。可哀想に。
「まぁでも、発見して差し上げてもいいかもな」
「須賀谷くん、悪い顔になってるよぉ~」
「そんなわけないだろ」
蜜の前では気をつけている。
耳を塞がれたままの蜜は頬を膨らませながら百に抱きついて、「みんなで子ども扱いする…」と拗ねていた。
可愛い。
百が苦笑いで耳から手を離した。
「子ども扱いじゃなくて、綺麗なままでいて欲しい的な願望なんだけど」
「……ずっと? そういう…えっちなこと知らないままでいいの?」
「知りたいならふたりがかりで教えるけど?」
「っ!!」
目を細めて笑う百に、蜜が顔を真っ赤に染めた。
可愛い。
「藤くん今の表情すごいエロい。はぁ~、一回相手してくんないかなぁ~。抱かれたいぃ」
「おい。欲望がただ漏れだぞ」
「めちゃくちゃにされたいんだよねぇ~」
2人くらい性的にめちゃくちゃにしてきて何を言っているんだ、茅ヶ崎は。
「お…教えてもらうのは、まだ…」
「分かってるって。俺たちもまだじっくり愛でてたいし」
「じゃあ存分に愛でていいよ?」
後で存分に愛でよう。
「僕も存分に愛でてい~いぃ?」
「茅ヶ崎は何か嫌な予感もするからダメ」
「えぇ~」
すげなく断られた。
「とにかく、こんなことが続くようなら催涙スプレー以外の対処も考えないとな」
「まぁそ~だよねぇ。女王様だけじゃなくて、なるべくみんな独りにならないようにしといた方がいいねぇ」
「寮生はみんな一緒に行動すればいいとして…」
「帰る方向が同じ者同士、しばらくまとまって動くことにするか」
「そうだな」
委員長の提案に頷く。
茅ヶ崎を襲った2人はしばらく転がしておきたい気もするが、早めに情報を確認しておいた方がいい気もする。
午後は放っておいて、放課後見に行くか。
――と、思っていた時期もありました。
「…うわ」
授業が終わって、帰るべく玄関へ向かった。下駄箱の前に人だかりが出来ていて、何だ?と思って覗くと、蜜の靴にベッタリと液体がかかっていた。
まぁうん。恐らくあれだ。男の体液。
「この靴もう履けない…」
「気持ちは分かる」
どうするかな、と思って百を見ると、百は小さく首を振った。このままにしておけ、と?
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