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第198話

正直、タイミング的に衛宮が関係ないとは言いきれない部分もある。ただ、俺たちの思い過ごしということもなくはない。それこそ、確かめてみないと何とも言えない。 「じゃあ蜜は俺と見えないところで待ってような」 百が言うと、蜜は少ししてから頷いた。 「…分かった」 「茅ヶ崎の遊んだ後のは正直見せたくねーのよ。千歳も俺も」 「うん…」 蜜には綺麗なものだけ見せたいと思うのは大げさでも何でもなく、本気でそう思っている。知らなくていいものは知らないままでいて欲しいし、出来ることならずっと優しい世界で甘やかしていたい。 でも、それを蜜が望むかどうかだ。 蜜は俺の唇にキスをして、それから百にもキスをした。 「ごめんね…」 「何が?」 「色々…」 ここまで萎んでいる蜜は珍しい。俺は思わず百を見た。 「相当きてんのな」 柔らかい声でそう言って、百は後ろから蜜を抱えた。 「だってぇ…っ」 声に涙が混じる。 衛宮絶対許さん。これが衛宮と関係ないことだったとしても許さん。あんな矮小な存在が蜜を泣かせていいわけがない。 「まだ衛宮と関係あるかどうかも分かんねーじゃん?」 「そうだけど…っ」 「ほら、泣かない泣かない。ちーちゃんが怖い顔してるぞ」 「懐かしい呼ばれ方だな」 幼稚園の頃は ちーちゃんって呼ばれてたなぁ。 百が蜜の耳の裏にキスするのを見ながら、俺も蜜の髪や額にキスを落とした。 「…関係あったらどうしよう…」 「害虫駆除は得意だから任せなさい。千歳に」 「俺か。まぁ、そうだな」 「茅ヶ崎にケガさせちゃった…」 「それは本人が聞いたら喜びそうだ」 蜜の髪を撫でる。 すんすん鼻をすする蜜が愛おしい。 蜜の肩越しに、百が俺を見た。あのゴミクズどうする?って言ってる目だな、これは。 「…百や千歳がケガさせられたらやだよ」 全く。本当に可愛い女王様で困る。 「大丈夫。千歳は俺が守るから」 「千歳、心臓ドキドキいってるよ?」 「今のはズルいだろ。百が悪い」 不意打ちにキュンとした。 「千歳と俺はね、蜜のためだけにいんの。余計なものは全部取っ払うから、安心しな」 「うん…」 蜜の体から力が抜ける。ふたりでその華奢な体を抱き締めてから、茅ヶ崎に連絡を取ってみた。 『あのオモチャに会いに行くのぉ~? いいよぉ、行く行くぅ~。でもぉ、夕飯食べてからねぇ~』 あ、茅ヶ崎はほんとの悪魔だ。オモチャ呼ばわりした挙げ句、あいつら苦しめと思ってるぞ。

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