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第202話

既に顔面がべたべたどろどろなのにもかかわらずまた泣き出した2人を放って、俺たちは先に寮に戻ることにした。 「茅ヶ崎」 「ど~したのぉ? 女王様ぁ」 「首、ごめんね」 「えっ、そんな…! こんなキズくらいで女王様 僕のこと心配してくれてるのぉ…!?」 「驚きすぎだろ」 「だってこんなちっぽけなキズだよぉ~? 治るよぉ~? も~、女王様かっわいい~! っていうか、衛宮くんのせいだしぃ~? 女王様のせいじゃないから大丈夫だよぉ」 衛宮、な。 あいつはとりあえずどう料理してやろうか。 茅ヶ崎の好きに いたぶ…遊んでもらってもいいような気はしてる。 が、それは俺の個人的な感情。 「って言うかさ、藤くんたちも気を付けてた方がいいよねぇ」 「そうなるな」 「2人まとめては無理としてもぉ、1人ずつ狙われるよねぇ~」 「衛宮に協力するやつがどれくらいいるかだし、これを機会に蜜に近づきたいやつがどれくらいいるかにもよるな」 衛宮の動向は百の伝手で張ってもらってるからそこから情報をもらうにしても、蜜に近づきたいやつらは把握しきれないからな…。 「でもなぁ、端から見て女王様たち前よりラブラブっぷり上がってるからねぇ~。 そこに入り込もうだなんてそうは思えないかぁ~。女王様の表情が前と全然違うしぃ~、めちゃめちゃ甘えて表情とろけてるしぃ、好き好きオーラ出すぎだもん~」 「だって大好きなんだから仕方ないでしょ?」 そう言う蜜は今、百に抱き上げられている。 「仕方ないねぇ~。ま、今の女王様見てれば両サイドに何かしたら絶対嫌われるのは確実だしぃ? そこまでリスク背負って手出ししようなんて思わないかなぁ~? バカ以外は」 「バカはするわけだな」 「そうそう~。バカはするよぉ~」 ところで。 茅ヶ崎があの2人から抜き取ってきた学生証がまだ俺の手元にあるのを忘れていた。 あの2人は既に完全な被害者(衛宮と茅ヶ崎による)ではあるんだよな…。明日にでも返すか。ないと困るものだし。 「とりあえずさぁ、衛宮くん自身が直に何かしてくる可能性は低そうだけどぉ。何か腹立つんだよねぇ~」 「自分の手は汚さない感じが?」 「そうなのぉ。女王様は女王様だからいいんだけどぉ、アレは王様にもなれなかった、なり損ないの死に損ないみたいなもんじゃぁん~?」 ひどい言われようだ。 「衛宮くんは2人がかりだったら茅ヶ崎をどうにか出来ると思ってたのかな…」 蜜が空に浮かんだ月を見上げながら呟いた。

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