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第204話
ひとまず寮へ帰ると、茅ヶ崎をまた部屋まで送って百の部屋に戻る。精神的に疲れたから、今日はもう寝たい気分だ。
そんな俺を察してか、百がすぐに風呂を沸かしてくれた。
リラックス効果のあるハーブバスソルトを入れて、先に入って来な、と促された蜜がルンルンでバスルームへ消えていった。
さて。
「衛宮の方はどんなだ?」
蜜がいるところでは出来ない話をここでしておく必要がある。
百は床に置いたスマホを、貴婦人のご機嫌を伺うように優雅にノックしながら口を開いた。
「特に動きないみたいだな。ただ、今日の2人が明日以降 衛宮に対してどう動くかな、とは思ってる」
「散々なめに遭ってるからな…」
「すごい同情してるじゃん」
「あれはひどい」
本当にひどい。茅ヶ崎の正体を知らないで手を出してああなった人間が他にもいるかと思うとゾッとする。
俺が顔をしかめて首を振りながら言うと、百はちょっと笑った。
「まぁ確かにねぇ。茅ヶ崎にしか出来ねーな、あれは。柳木くんの方は?」
「無事みたいだな。毎日 家に着いたら連絡もらってるけど、特に何もないみたいだ」
柳木はあれから毎日、律儀に連絡を入れてくれている。
「なら良かった。衛宮どうにかしたら、また一緒に出掛けよっか。蜜も喜びそうだし」
「そうだな」
どうにかなったら、じゃなくて、どうにかしたら、の辺りが百らしい。
「ところで、茅ヶ崎を襲った結果ってのを衛宮は気にすると思うか?」
「んーどうだろな。茅ヶ崎がピンピンしてるの見たところでもう1回仕掛けてくるかは微妙だな。だって茅ヶ崎よりも俺たちのこと気に入らないわけだし?」
百が皮肉っぽく笑う。
「確かにな」
「だからね、ちーちゃん」
目の前の美形がにんまり笑った。
これは絶対何かを企んでいる顔だ。
「この辺が尻尾を引っこ抜いてやるチャンスだと思うんだよ」
尻尾を掴むんじゃなくて引っこ抜いちゃうのか。
「何か考えが?」
「衛宮を死ぬほどイライラさせればいいんじゃん? 人使うより自分でぶちのめす!ってなってボロ出させればいいんでしょ?」
「まぁ……そうだな?」
「蜜にはまだ執着あるみたいだし、多分 衛宮としては千歳と俺をボコボコにして蜜が自分から『ごめんなさい』とか言うのをこう…要求してるわけでしょ? 支配するために」
「言葉にするとあいつほんとに頭悪いな…」
「そんな愕然とした表情で言う?」
あまりの頭の悪さにびっくりしてしまった…。
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