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第205話

「まぁでも頭悪いから引っ掛かってくれると思うんだよねー。ってことで、明日から衛宮が見えたら存分に蜜を愛でような」 「煽りに煽って逆撫ですればいいのか?」 「そゆこと。んで、放課後は俺がたまーに一人になるから」 「…蜜に不審に思われないようにな」 「分かってるってー」 けらけら笑う百には多分、協力者がいるんだろう。 「だからさ、千歳はずっとべったり蜜のそばにいてよ。茅ヶ崎も一緒に。委員長にも声かけとくし」 「分かった。…が、百一人が危険に晒されるのは本意じゃない」 「大丈夫。それなりに準備はしてるし。それに、言ったじゃん? 千歳は俺が守るから」 「盛大に照れるからやめてくれ」 「蜜も可愛いけど千歳も照れると可愛いよな」 「やめなさい」 顔が熱い。 百は足先で俺の膝をつつきながら笑っていた。 しばらくふたりで戯れていると、ほこほこした蜜が上機嫌で風呂から上がってきた。 「あっ、仲良し! 俺もまぜてー」 濡れた髪のまま、蜜が飛び込んで来る。 ほこほこした蜜からは、すごくいい匂いがした。 「…バラ?」 「あ、そう! シャンプー新しくなってた!」 「いい匂いだな」 「ボトルもすごい可愛くてねー」 「可愛い蜜にピッタリじゃん?」 百の言葉に、ふふふ、と照れたように笑う蜜。 「バスソルトもねぇ、いい匂いだった」 「ご満足頂けましたか? 女王様」 「満足ー。ありがと、百」 にこりと可愛らしく笑みを浮かべた唇が百のそれに触れる。その後で俺にも触れて、蜜は満足そうに百の膝に収まった。 っていうか、本当にいい匂いした。 蜜と百はともかくとして、俺の髪から同じバラの匂いするってどうなんだ…? 大丈夫か? 「蜜、化粧水するからこっち向いて」 「はぁい」 返事可愛いな。 「千歳、先 風呂いーよ」 「じゃあ遠慮なく」 蜜のスキンケアをしている百に声をかけられたので、着替えを持ってバスルームへ向かう。 可愛い幼なじみふたりに癒されて早く寝たい。 湯船からふわりと香る優しいハーブの匂いに癒されて、決して下品でなく控えめに甘く香るローズシャンプーの匂いにも癒されたけど、やっぱりメンタル的に一番の癒しは蜜と百なんだよな。 そんなことを思いながら風呂から上がった俺は、可愛い幼なじみふたりに寝かしつけられてすぐに寝落ちてしまった。 「……千歳 寝た?」 「寝たな。今日はお疲れだったからな」 ふたりは顔を見合わせて小さく笑うと、おやすみ、と囁いて両側から頬へキスを落とした。

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