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第219話
ま、確かに百と千歳の言う通りなんだけどさ。知る必要もないし、どーでもいい。
ただ、腹は立ってるよ? 花なんとかくんに。
あの靴まだ履けたし。気に入ってたし。
なのにせーえきかけやがって。
大体、靴にかけるとかどんな性癖? …まぁ、制服とか運動着じゃないだけマシだけど…。
買い換えるとなると、高いもん。制服も、運動着も。
けど、値段じゃないんだよねぇ。
「はぁ~あ」
思いの外でかいため息が出て自分でちょっとビックリしたけど、周りはもっとビックリしていた。
遠巻きに見てた人たちはギョッとした顔をしてたし、ひそひそと声が聞こえてきた。
「え、ちょ、女王様めちゃくちゃご機嫌斜めじゃねぇ?」
「相当腹に据えかねてるんじゃねぇの? 12万の靴だぜ?」
「俺なら怒り狂うわ」
「12万って…学校に履いて来るか?」
「え、俺の靴 7万だけど」
「は? 黙れブルジョワ」
「俺の靴 980円!」
「安すぎだろ」
やっぱ百が言うとみんな信じちゃう12万。
って言うか、百って俺に12万もする靴プレゼントしてそうに見えてんの? それはそれで…何か俺がやばい人みたいじゃん。
「ところでさぁ~、どうやってお仕置きするのぉ~?」
茅ヶ崎ったら、楽しそう。
「そうだなぁ…。どうする? 千歳」
百が頬から顎に指を滑らせながら千歳を見る。その顔には悪ぅ~い笑みが浮かんでるよ。
「女王陛下の御心のままに」
千歳は洗練された仕草で胸に手を当てたけど、やっぱり顔には悪ぅ~い笑みが浮かんでる。
「ん~、どうしよっかな」
正直 靴さえ弁償して貰えればそれでいいんだけど。でも同じようなことがまたあったら嫌だしなぁ。
って言うかあの靴片付けないと。…触りたくないなぁ。
「とりあえずさぁ、靴処分してほしいよね。自分のせーえきなんだから自分で触れるでしょ。俺は絶対触りたくない」
「俺たちも蜜には触らせたくないな」
「え、でもさぁ~これからエッチなことするようになったらさぁ~、」
「茅ヶ崎、口閉じてような」
百が人差し指を唇に当てて『静かに』のポーズ。
「今の藤くんの仕草ちょっとエッチ~」
「茅ヶ崎」
「須賀谷くんに怒られたぁ…」
「自業自得でしょ。って言うか百や千歳のことそういう目で見るのやめてくんない? 俺のなんだけど」
「人が食べてるものは美味しそうに見えるでしょぉ~? 食べられるのは女王様だけどねぇ~」
「千歳。茅ヶ崎がセクハラしてくる」
「死刑だな」
「極端!! 情状酌量の余地は!?」
あると思ってんの?
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