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第224話
まさか太ももこんなくすぐったいなんて思わないじゃん!
「蜜、腹薄いな」
「…筋肉がないって正直に言ってもいいよ」
そりゃ千歳と比べたら――百と比べてもだけど――薄いでしょうよ、俺の腹は。
「蜜、タオル取っても平気?」
あ、ついにそこ。
「うん。…小さいって言ったら怒るけど」
「何にも言わないでおくな」
「百、ちょっと憐れみの表情やめて」
「蜜はほら、小柄だからいろんな所が小さくても…」
「千歳。それ全然フォローになってない」
いろんな所ってどこだよ!
と、思っていると、下腹部に泡が。そんなとこ人に触られるの初めてで、今更だけど羞恥が込み上げる。
なんだけど、同じくらい…こう、何て言うか…。
「…っ、ぅ」
すきなひとにさわられるの、きもちいい…。
「ん…」
何か…いろいろダメかも…。
「ちとせ…」
俺ってこんな声出せたんだね、って言うくらい、甘い声。
「っ、ぁ、キスして…」
「百の手で気持ちよくなってるの見るのは妬けるな」
「何それ」
おかしそうに笑う百の手の中には俺のアレがあって…その光景だけで、頭パンクしそう。
羞恥と、でも確かに快感っていうか、気持ちよさがあって、おかしくなる。
これだけでこんなになって…これ以上のことしたら、ほんとにどうなるの?
泡だらけの俺の肩を抱いて、千歳がキスをする。もっとほしい。
「っ…もも、」
「はいはい」
宥めるような声。唇は優しく触れるのに、それじゃ足りなくて。
「ふたりだけよゆーなのずるい…」
「余裕じゃないんだけどなぁ」
「蜜にひどいことしたくないから色々抑えてるだけだ」
百は苦笑いで、千歳は渋い顔。
…そうなの?
「……なら、許す」
ふたりに体洗って貰うの気持ちよかったし、何なら感じすぎちゃうくらいには。
自分がこんなになるなんて知らなかった。アレ触られただけでこんな…ねぇ。
いや、でも…仕方ないじゃん。
泡を洗い流してもらって、ひとり湯船に浸かる。恥ずかしかったけど…気持ちよかったから、何か…ちょっと……クセになりそう…。なんて。
今までの彼氏とだったら絶対嫌だったのになぁ…。俺ほんとに…ふたりのこと、大好きなんだな…。
それを再認識して、ひとりで照れる。
言わないけど、きっとバレちゃってる。
これは…えっちしたら大変なことになるぞ。俺が。
「はぁ…、やば…」
小さくこぼれたため息と呟きは、ぼんやり響いて消えた。
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