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第228話
「それで? その元彼はどうして今さら蜜に?」
千歳が咳払いをして百に聞く。
「話を聞く限りだと、どーも衛宮が愚痴ったっぽいな」
「「小せぇ男だな」」
俺と千歳の感想がぴったり一致した。
百はちょっと笑う。
「その小せぇ男のことをまだちょっと好きだったのと、蜜にとられたって意識もあったんだろうな。まぁ腹いせみたいなもんだよな」
「でもそれ悪いの俺じゃなくない?」
「蜜じゃなくても気持ちのもって行き場がなかったんだろ。好きだったのに振られて、なのに短期間であっさり別れて、蜜にはもう別に男がいて。色んなもんがごちゃ混ぜになったんじゃねーの?」
「……」
「おっと、すごい不機嫌顔」
そりゃすごい不機嫌顔にもなるよね。
「…百さぁ、何その元彼のこと理解しちゃってんの?」
千歳が黙って俺の隣に正座した。これは事態を静観する構えだ。
「百は誰の百なの」
「蜜と千歳のだな」
「そうだよね?」
「別に理解とは違うじゃん?」
「違わない。ちょっとしょうがないとか思ってたでしょ。悪いの元彼じゃないって思ってるでしょ!」
百がちょっとびっくりした顔をした。
「それくらい俺だって分かるんだから!」
「…蜜」
「なに!」
あぁ、イライラする。
「蜜ってそんなヤキモチ妬きだっけ?」
「はぁ!? 今そんな話してない!」
何でそうなるの!?
「俺が衛宮の元彼のこと理解したり肩持つのが嫌なんだろ?」
「すっっっごい嫌!!」
「そんな泣きそうになる程」
「嫌に決まってるでしょ!?」
「それヤキモチじゃねーの? どう思う? 千歳」
千歳は俺を見た。…何でニヤニヤしてんの?
「ヤキモチだなー。完全に」
「!? 違、っそん、違うし!」
「蜜の本気のヤキモチ初めて見たかも」
「そうだな」
「違うってば!」
「はいはい。可愛いなー、蜜は」
百が俺をぎゅっとする。
「ねぇ! 俺 怒ってるんだけど!!」
「怒ってても可愛い」
啄むようにキスされて、怒りがしゅるっと萎みかける。俺ちょろすぎない!?
「っもう! キス禁止にする!」
「ふーん?」
にんまり笑う百。千歳もやっぱりニヤニヤしてる。何その反応。
「なに、…」
構える俺に、ふたりは顔を見合わせてやっぱりにんまり笑った。
ほんと何!!
「絶対 蜜が先に耐えられなくなるぞ?」
「何言ってんの、千歳」
「しょーがないから、口淋しくなったらちーちゃんキスさせてね」
「仕方ないな」
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