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第229話

千歳が仕方ないとか言いながら満更でもなさそうに笑ってる。 俺が先に耐えられなくなるとか、そんなことあるわけ………ちょっとありそうだな…。 でも、怒ってるんだから。 これはヤキモチじゃなくて…え、何だろう…。 何か冷静になると…百が衛宮くんの元彼可愛いって言うのとか、衛宮くんの元彼に理解あること言うからイライラしたわけで…。 ……えっと……嫉妬、かな。 だって、これは百が悪くない? 俺と付き合ってるのに他の褒めたり、庇うようなこと言うから! ………うん、嫉妬…かな…。 大人しくなった俺を、千歳と百が見てるのが分かる。 「蜜ー」 「……なに」 「キスしていい?」 「っ…、だ…だめ」 俺のバカ…。 「そっかー。じゃあ千歳、ちょっとデコ貸して」 「仕方ないな」 百が俺の目の前で千歳の額に口づけた。それから目元にも。 千歳のキスは優しいけど、百のキスはえっちだ。そんなえっちなキス、俺以外にしたらダメでしょ。って言いたい。 でもそれだと俺が百にキスして欲しいみたいだし…。して欲しいけど。 「……千歳」 百にキスされた千歳を呼ぶ。頬を指差すと、千歳は苦笑いしながら俺の頬に唇を寄せた。 百はそれを見ながら笑って、化粧水とコットンを手に取った。そうだ。俺がもっかいって言ったんだ。 「千歳、先に風呂入ってきていーよ。俺、蜜のマッサージとかしてるし」 「それでもいいけど…知らない男の香水落としてきた方がいいんじゃないか?」 「えー、そんな匂う?」 「匂う匂わないよりも、単純に気にくわない」 「ん?」 俺の顔にコットンを滑らせながら、百が千歳を見た。 「百に知らないやつの匂いがついてるのが単純に気にくわないから、落としてきてくれ」 千歳のめちゃくちゃストレートなお願いに、百が唇をきゅっと引き締めた。これは…。 「…百が照れるなんてレア」 「蜜、じっくり見るのやめて」 千歳のヤキモチに唇緩んじゃいそうだったんだね。 「蜜の顔やったら入ってくる」 「そうしてくれ」 けどまー、知らない男の香水ついてるのは俺も嫌。百のシャンプーとかボディソープとか柔軟剤の匂いがいいな。 「蜜、マッサージは後でな」 「しょーがないね。この香水の匂い俺も嫌いだもん」 「これムスク系じゃねーの。甘さ強めの」 「ムスク系の匂いは好きだけどそれは嫌い」 勝手にマーキングされた気分だから嫌い。相手にそんなつもりないのは分かってるんだけどさ。

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