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第232話
「ついたか?」
「うん」
満足満足。
でも衛宮くんを煽るためには俺にもついてないとダメかなぁ。けどそうすると違う意味で茅ヶ崎も釣れちゃいそうなんだよな。
なんて考えてると、百と千歳がそれぞれ俺の首筋にキスをした。くすぐったくて肩が跳ね上がってしまう。
それを両側から押さえられたと思ったら、皮膚がきつく吸い上げられる感覚がした。
ちゅ、と音がして、ふたりが離れる。
何か……肩押さえつけられたの、いつもと違う強引な感じがしてドキッとしてしまった…。
それは千歳と百だからなんだけど。他のにやられたら腹立つもん。絶対許さん。
「蜜、肌白いから目立つな」
千歳がそう言いながら、多分キスマをつけたであろう俺の首筋をそっとなぞる。
「っん、千歳、くすぐったいからやだ」
身を捩るけど、百の膝に乗ってるから腰抱えられてるし。
「やなの?」
百に聞かれて、正直者の俺は「………やじゃないけど」って答えるしかない。
ふたりは笑って俺にキスをした。
今までの彼氏と違って…っていうのは失礼かもしれないけど、でもふたりはまず俺の意思を大事にしてくれるから、強引なこととかしないしすごく安心していられる。
だけどたまにはちょっと…うん。
いや、でも…じれったいくらい優しくされるのもいいな…。
贅沢だ。
「茅ヶ崎が興奮しそうだな。これ見たら」
「うーん。でも茅ヶ崎は、ただつけただけって分かりそう」
「あの嗅覚何なんだろうな。不気味だ」
「ちーちゃん正直者」
百が笑う。
でも茅ヶ崎はエロには敏感だよな、って思うよ。えっちしたらえっちしたのバレそうだもん。
「…えっちってさぁ……………する…?」
唐突な俺の言葉に、目の前のふたりが目を見張った。
うん、まぁあの…うん、ね…。
「そんな、一気に進めなくてもいいんじゃん?」
少しの沈黙の後、百が口を開いた。千歳も隣で頷いた。
「蜜、初めてじゃん」
「うん」
「尻だし」
「うん」
「怖くね?」
「正直ちょっと怖いけど、ふたりなら酷いことしないし」
千歳と百が顔を見合わせる。
「その信頼は嬉しいんだが、いきなりはアレだからな」
「そーね」
アレとは。
「でも俺も準備とかしてないしな」
尻洗うのは知ってる。
「俺の覚悟ができたらしてね。…優しく」
その言葉には、優しいキスで返事が返ってきた。
そうだ。衛宮くんのが解決したら、そしたら考えよう。
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