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第233話
その夜はふたりがかりで優しく蕩けさせられて、それはもう甘い甘い時間を過ごし…………たわけがないよね。
ゲームして健全に過ごしたよ。
ラグの上で雑魚寝したはずが、起きたら百のベッドの上だったから、きっと運んでくれたんだな。
百と千歳は、ラグの上で仲良くふたりで寝ていた。
顔を洗いに洗面所へ行けば、鏡の中の俺は首筋にふたつ、キスマークをつけていた。それを見て、つい、にまっと笑ってしまう。
これだけなのに、少し気分がいい。ふわふわした心地好い感じ。所有印をつけられて嬉しいとか思っちゃうあたり、好きで好きでしょうがないんだな、って、もう何度もしてるけどまた自覚する。
香月さんだって好きだったけど、こんなことされたら烈火のごとく怒る自信あるもんね。
キスマークだけじゃなくて、今度は一緒にお風呂入りたいなぁ…。寮のお風呂じゃムリなんだけどさ。
後から起きてきたふたりと身支度を整えたら、俺たちは食堂へ下りて行った。
「おはよぉ~。女王様たちおそろいじゃあ~ん」
目敏い茅ヶ崎。自分の首を指でとんとんしながらにやりと笑った。
「羨ましいでしょ?」
「そうだねぇ~。女王様のナカを自分ので満たせるのは羨ましいかなぁ~」
舌なめずりするな。
「でもまだでしょぉ~? そういう雰囲気ないもんねぇ~」
「そういうの分かっちゃう茅ヶ崎ってさぁ」
「…気持ち悪いな」
「須賀谷くぅん!?」
正直な千歳に、百が声を上げて笑った。
「茅ヶ崎は分かっちゃうけど他はどうかな」
一番釣りたいのは衛宮くん。
「単純なのは騙されそうだよねぇ~。昨日の女王様すごい甘えてたしぃ~、藤くんも須賀谷くんも甘やかしてたしぃ~。その延長で昨日ヤっちゃったってなってもぉ、自然な流れっていうかぁ~?」
「あ、それっぽい会話してればいいんじゃん?」
百がイタズラを閃いた顔でそう言った。
なるほどね。
「採用!」
「じゃあ蜜の体を労らないといけないな」
「そうじゃん! はい、千歳。抱っこ」
語尾にハートマークをつけるくらいの甘えた声で千歳に腕を伸ばす。千歳は笑って俺を抱き上げた。
ところで、ここまでの会話はそこにいる人たちには聞こえてるからね。また何かやってるなー、くらいの顔で皆見ていた。
「ところでそれっぽい会話ってさぁ、どんな感じ?」
シたことないから分かんない。
「まずはぁ、事後感出していこぉ~!」
茅ヶ崎は目を輝かせるな。ワクワクするな。
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