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第234話

っていうか、全然そんなのしたことないから事後感とか無理だわ。 昨日はすごかったね、とか恥じらいながら言えばいいわけ? 昨日は気持ちよかったからまたしてね、って言うとか? 昨日よりもっとすごいのしたい…、って甘えてみるとか…。うーん。 どれも俺のキャラじゃないな。あえていけそうなのは2番目だけど。 「茅ヶ崎のは却下」 「えぇ~」 できないもん。 それよりお腹すいてるからごはん食べよう。 「でも女王様って事後とか色気って感じじゃないもんねぇ~。分かるよぉ」 「百、不快だからあの口封じて」 「承知」 快諾した百は茅ヶ崎のポケットに無造作に突っ込まれていたネクタイを取ると、それで茅ヶ崎の口を封じた。 あれだ。誘拐された人がやられるやつ。ネクタイ噛まされてる。 「ネクタイってそういう使い方も出来たんだね」 「腕を縛って自由を奪うだけじゃないからな」 「そもそもネクタイは首に巻くものだが…?」 感心した俺と得意気な百に、千歳は律儀に突っ込む。 茅ヶ崎? 茅ヶ崎は何でか嬉しそうにしてたわ。何でか、っていうか、変態だからだけど。 どーせ百のSみに痺れてるんでしょ。 「茅ヶ崎、それ取らないでごはん食べなよね」 「りょおうはは、っへはんり」 『女王様、って感じ』って言ったんだろうな、多分。 別にさ、俺だって色気ないのは自覚してるし。いいんだけど。いいんだけど、さ…。 いつかはふたりとしたいし、そしたらふたりに見合う(?)だけの色気は欲しいよな。 百はちょっとエッチだし、千歳もストイックな雰囲気の中に見え隠れする色気があるんだよね。俺だけ可愛さしかない。 可愛く喘いで煽れればいいのかもだけど、したことないから自信ないしなぁ。 うん、でもまぁ朝から考えることじゃないわ。 とりあえずは衛宮くんを釣ることだけ考えよう。ほんとは吊りたいけど。何なら逆さ吊りにしてやりたいくらいだけど。 朝ごはんの半熟目玉焼きにお醤油をちょっと垂らして口に運ぶ。塩かかってるけど、半熟の黄身にはお醤油かけたい。お醤油、卵、ごはんの組み合わせ最高。 日本人でよかった~、って幸せを噛み締めながら食べていた俺はふと気づいた。 「うわ、茅ヶ崎ネクタイ卵でべっちょべちょじゃん。汚な」 何で口にネクタイ噛まされたままごはん食べてんの? って言いたげな俺に、茅ヶ崎は『解せぬ』って顔をしながら呟いた。 「……りょおうはは、っへはんり…」

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