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第239話

「だからって何しても良いわけじゃないけどな」 「蜜に振られたのは1人なんだよな? 残りの2人は?」 「千歳が振った相手〜」 「は?」 「と、」 百はそこで言葉を切って、ちょっと困った顔をした。 「ごめん。うちの取引先の、息子」 「「はぁ?」」 それは想定外だったわ。 「どういうこと?」 「えっと〜、俺ほら、たまに親に連れられて色々パーティーみたいなの行くじゃん?」 それには俺も千歳も頷いた。聞くと結構な規模の企業パーティーに出てたりするんだよね。 「今年の夏に、あるコングロマリット主催のちょっとしたパーティー出てさ」 コングロマリット主催のパーティーは絶対『ちょっとした』規模じゃないと思うよ。そこが俺達と百の感覚の違い。 「そこに向こうも来てて、親は親同士で話あるし、こっちはじゃあ子ども同士でーなんて言って話してたんだけど。流れでこう、誘われて」 「ん? んん、ん?」 「え、待て待て。流れ? 流れって?」 「断ったけど」 「そうじゃない。そこじゃない」 「断った挙げ句蜜と付き合ってるのが気に食わなかったみたいで」 「いや待って、それも逆恨みじゃん」 「うん。だからごめ〜ん」 軽いな! 「あれはすげー軽い気持ちでやったみたいなんだよね。俺は土下座されたけど、蜜どうする? 土下座させるならさせるし、退学にしたいなら出来なくはねーよ?」 「それしたらもっと逆恨みされそうだよね」 出来なくはないってのが微妙に怖いんだよな。 「うーん…もう二度と関わらないでいてくれたらいいかな。あと弁償」 「12万だな」 「千歳、それは詐欺」 2000円だから。 ってか3人とも逆恨みかー。俺って罪深い。 イイ男を2人も独り占めしちゃってるし。だから千歳を好きなやつも百を好きなやつも俺のこと邪魔だと思ってんだよね。知ってる。 「千歳はどうする? 土下座以上のことさせる?」 「土下座以上のことが何なのか気になるが…一切会う意味がないな」 千歳が冷淡に吐き捨てた。まぁね、千歳は自分のことで俺や百に何かされるのがほんとに嫌いだから。土下座にも価値ないって思ってそう。 「って言うか千歳はさぁ、いつその人と接触あったの? 俺が香月さんと付き合ってた時?」 本人、『覚えがない』って顔に書いてあったから、百を見た。全然人のこと言えないけど、千歳も大概だよね。 「そうだな。俺もちょっと顔見たことあったし」 多分百は、お家の関係でたくさん人に会うから顔覚えるのは得意なんだろうな。 「じゃあ靴買ったらその金額払ってもらって。その後のことは任せてもいいよな?」 「うん、いいよー」 快く返事をした後で気づいた。『任せる』って、誰に?

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