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電話を切り、半ば寝落ちのような感じで眠りにつこうとしたところで、ふと、疑問がよぎった。
俺が、春馬さんまたは川上先生に萌えたりキュンとしたりしているのは、あくまでも『キャラとして』のつもりだったんだけど……本当にそうなんだろうか、という。
きょう電話しながらテンションが上がっていたのは、春馬さんが俺に個人的な興味を示していたとか、俺と話すのが楽しいと言ってくれたとか。
ただセリフに萌えていただけとは、なんか違うような。
それに。
――これからも、よきネット友達としてよろしくね
この言葉にちょっと傷ついたのは、なんでなんだろう。
春馬さんに、押し倒されるところを想像する。
そっと肩を押されて、俺はばふっと、ベッドに倒れる。
両手を押さえて組み敷かれて、キスとか、首筋に口づけられたりとか。
……それ以上想像しなくても、自分がどう思っているかは、すぐに分かった。
ゆるく半勃ちになったものにそっと指を這わせたら、思わず身悶えた。
こんな感覚、初めてだ。
微妙な動きだけで吐息が震えて、下着の中に手を突っ込んで直接触れたら、さらに呼吸が荒くなった。
ダメだと思って、さっと手を引っ込める。
けど、固くなった俺の中心はずくずくとうずいていて、もっと触りたくなってしまう。
「春馬さん……」
絶対に叶うことはない気持ちに気づいてしまった。
毎日電話しても、ふたりで会うことは絶対になくて、いまこの状態が、1番近い距離だ。
これ以上は絶対に縮まらない。
布団を蹴ってどけ、ズボンを下ろし、握る。
苦しさをぶつけるようにめちゃくちゃにしごいたら、小さくうめき声が漏れた。
「……、ぅぁ……、はぁっ、」
さらに擦り続けると、あっという間に達した。
ビクビクと吐き出しきったら、頭が冷えて、さらに状況が分かってきて……もう、開き直ることにした。
春馬さんと電話したり親しくし続ける限り、俺はこの気持ちを持て余したまま生きることになるのだと思う。
だから、こうして、想像の中でひとりで終わらせることだけは、許してもらおう。
雑に体と手を拭いて、再びごろんと仰向けになる。
きょうもいっぱい萌えた。
歩美のことを聞いてきたのはやきもちだったとか、都合よく解釈してさらに萌えてしまおう。
それでよくない?
これがただの片思いだと気付いてしまったわけだけど、こじらせて苦しくなるよりは、萌えの燃料にした方がいいと思う。
だから、思う存分キュンキュンすればいいんだ。
春馬さんという尊いコンテンツを、消費して。
<1 教室の世迷言 終>
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