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 ラーメンを食べて、帰ってきた。  さすが有名店なだけあって、おいしかった。  春馬さんはまた遊ぼうと言ってくれた。  よかった。  そして俺はいま、お通夜みたいな気分で自室の机に突っ伏している。  母親には、きょうは夕食はいらないと言った。 ――色々傷ついたりもしたし、もういいかなって  春馬さんはそう言って、ちょっと笑っていた。  寂しそうな感じでもないし、ヤケな感じでもなく……本当にそう思ってるんだな、という感想。 「俺相手だったら傷付かないですよー」  意味もなくつぶやく。  超大好きだし絶対嫌なことはしないし、趣味も合うし楽しいことがたくさんできる自信があるけど。  でも、春馬さんが言ってるのはたぶん、そういうことじゃないんだろうな。  恋愛経験なんてないに等しい俺には分かんないけど、恋に傷つくっていうのは、そんな表面的なことではないのだと思う。  たぶん。  それに、そもそも論で、もし春馬さんにそのつもりがあるなら、最初から俺を遊びに誘ってない。  下心ゼロだから、生徒の俺と友達になりたいと言ってくれたのだろう。  そこまで一気に考えてしまったらもう、俺には春馬さんとどうにかなれる可能性なんか1ミリもないことが痛いほど分かって、立ち直れる気もしなかった。  なんとなくツイッターを開く。  すると、春馬さんが買ったグッズを並べて上げていた。 [はるま: 初めての池袋アニマート。「男の戦い」でもぎ取った戦利品です。家宝にします。戦友くんありがとう、また行こうね]  絶望的に可愛い空リプ。思わずうめき声が漏れた。  これ、あの真顔でぽちぽち入力したんでしょ……?  ツイートひとつで立ち直る自分の単純さが、いまは救いだ。  リプがついているので、開いてみる。 [アカリス: 誰と行ったのー?] [はるま: 内緒です] [アカリス: え?w 彼女?www] [はるま: 男友達ですよ。はしゃぎ方がデートみたいで可愛かったですけど]  え……? えっ!?  思わず5度見する。しかし読み間違いではない。  可愛かったって……デートみたいって……。  それは、好意的に受け止められているのだろうか。  それとも、俺の気持ちが透けて見えちゃってて、だからあえて、その気はないと明確に拒否したのか?  手放しではよろこべないでいるから、やっぱりそれなりのダメージはあるらしい。  画面を見ていると、またリプがついていた。 [アカリス: 彼氏だったかwwww] [はるま: 違います。冗談でも「そうです」とか言えない程度に無垢でした] [アカリス: ぐはw 溺愛www] [はるま: 彼にはまっすぐ育ってほしいです]  ……これは、どう解釈したらいいんだ?  普通に、恋愛対象ではないということでいいのか?  しかしなんか、なんだろう、言い回しが。  このリプの意味が『可愛かったけど、無垢だったから手が出せなかった』みたいな話だったらとか、都合の良すぎる曲解をしてみる。  というか、アカリスさんは共通のフォロワーだから普通に俺のTLにも流れてくるわけで、春馬さんがそれに気づいていないはずもない。  なんにも思ってなくて、あえて『可愛かった』なんて書く……?  これは、意味を聞いた方がいいのではなかろうか。  スルーしちゃうのは簡単だけど、すごいチャンスをくれている気もする。  そうか、男の戦いはまだ終わっていなかったらしい。

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