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プロローグ・2

 吉村はメールだけに留めておいた催促を、電話攻勢に切り替えた。  それでも蛍は、書けない。 「奥の手を、使うか」  このベテラン編集者はある決心をし、PCでサイトを開いた。 『floater矢守』  いわゆる、何でも屋、便利屋の類だ。  数多くの同業者の中でも、群を抜いて顧客満足度の高い評判がある。  ただ不思議なことに、この会社は依頼の全てを引き受けているわけではない、との噂がある。  社長の気に入った仕事しかしない、というのだ。  依頼をサイトに書き込めば、一両日中に返事が来る。  引き受けるか、引き受けないかのどちらかだ。  このご時世、仕事の選り好みをしていて大丈夫なのか?  吉村はそんな風に考えたが、今は藁にもすがる思いなのだ。  迷わず依頼を書き込んだ。   『スランプ小説家の身の回りの世話をし、作品を書けるように促していただきたい』  蛍の面倒を見ることを、吉村は便利屋に依頼したのだ。

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