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プロローグ・4
「いや~、これは便利屋さん頼んで正解でした」
吉村は蛍のマンションの部屋へ通され、思わずそう言っていた。
何もかもやる気をなくした蛍の部屋は、プチごみ屋敷になってしまっていたのだ。
脱いだ衣服や新聞、タブレットに雑誌、クッキーの缶やCDなどをソファからどかして、吉村はようやく蛍と対面した。
「で、早速ですが。こちらが編集部で用意した、便利屋さんです」
「矢守 等(やもり ひとし)です。よろしく」
蛍はそこで初めて、便利屋を正面からまじまじと見た。
黒い髪は天然の縮れっ毛。
彫りの深い顔立ち。
身長は180㎝を越す長身。
肩幅は、広い。
(……ゴリラじゃん)
小柄で薄い自分と比べて、何もかも相反する外見だ。
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