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第一章 友達は便利屋さん
後はよろしく、と吉村が去ってすぐに、等はポケットからカードを数枚取り出した。
「では先生、これを一枚選んでください」
「名刺なら、さっき」
いえいえ、と手を振る等だ。
「名刺じゃありません。今後の二人の関係を、こいつで決定します」
「?」
関係と言ったって、小説家と便利屋以外の何があるのか。
不思議に思いながら蛍が引いたカードには、『恋人』とあった。
「はい! 今から先生と俺は、恋人同士です!」
「ええっ!?」
これからは恋人として接しますからね、と笑顔の等に、蛍は慌てた。
「ちょっと待ってください! 他のカードも見せてくれませんか!?」
開いたカードには、こうあった。
お父さん、幼馴染、兄、下僕、執事、友達……。
「どれか他のカードと交換しますか?」
「友達に変えてください!」
蛍は諦めた。
友達なら、他のカードよりいくらかマシだ。
ましてや、恋人などとは!
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