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第二章・8

「ね、等。僕の靴下……、あれ?」  返事がないと思ったら。  返事がないと思ったら、等はソファで横になって居眠りをしていたのだ。  あどけない、無防備な寝姿。 「等の寝顔、初めて見た」  どんな夢を見てるのかな。  夢の中に、会いに行きたいな。  ふと沸き上がった感情に、蛍は慌てた。 「ひ、等は友達だから。いや、それ以前に、吉村さんに雇われた便利屋さんだから!」  僕に、こんなに優しく尽くしてくれる等。  でも、それはビジネスなんだ。  仕事だから、やってるだけなんだ。  強く、そう思い込もうとした。  子どもの頃から本が好きで、友達は自分から作る性格ではなかった。  中学から自分で小説を書き始め、小説投稿サイトに投稿するようになった。  高校に進んだ理由は、学園生活の取材のため。  それ以上など、何も求めなかった。  友達も、いなかった。  18歳を迎え、成人向けの小説も書き始め、本格的にBL小説家として歩み始めた。  小説では、友情だの恋愛だのと書き散らしているが、そのどちらも経験したことのない蛍だった。

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