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第三章・4
素直になれれば、どんなにいいだろう。
しかし蛍は、20歳になるまで恋愛もキスも未経験だったと等に知られたくなかった。
それは、恥と感じていた。
「キスくらい、したことあるよ!」
「へぇ。どこで、誰と?」
「高校の時に、クラスの友達と」
「羨ましいなぁ、その子」
羨ましい?
蛍は耳を疑った。
「蛍の初キス、だなんて。激レアだよね」
そんな、でも、そうかな、などとモゴモゴ言っている蛍に、等は顔を近づけた。
「じゃあ、できるよね。キス」
「はわわゎゎ……」
柔らかい等の唇が、蛍に重ねられた。
体をこわばらせている蛍に、等は違和感を覚えた。
(キスだけで、こんなに固くなるってちょっと妙だな)
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