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第三章・10

「ミルクティー、は定番すぎるし。抹茶、は冒険だし。トロピカルフルーツにする」 「OK。俺は、コーヒーゼリークラッシュにしよう」  いつの間にか雨は上がっており、等は傘をたたんでドリンクを手にした。 「蛍、はいどうぞ」 「ありがと」  甘酸っぱいトロピカルフルーツは、蛍の喉を、心を潤した。 「美味しい」 「よかった」  今日は、妙な諍いもなく時は流れる。  ドリンクを飲む合間に、等が提案してきた。 「買い物して帰りたいんだけど、いい?」 「いいよ。どこに行くの?」 「ドラッグストア」 「ドラッグストアには、つい一昨日行ったばかりじゃない?」 「ちょっと、買い足したいものができて」  何の疑いもせず、蛍は等と共にストアへ足を運んだ。  風邪薬、鎮痛剤、サプリメントに、青汁……。  そして、蛍が連れて来られた陳列棚には。 「ローション、蛍はどれがいい?」 「え!?」  

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