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第三章・11

 ローションと言えばあれだろう。  潤滑剤だろう。  何の滑りを良くするかは、聞かなくても解る。 「な、何にするの。そんなもの……」 「え? エッチに使うんだけど」  やっぱり!  頭を抱える蛍に、等は無神経に聞いて来る。 「これがノーマルなジェルタイプ。これは冷んやりクール系。こっちはちょっぴり刺激のある特別製」  何でもいい、まかせる、と蛍は早口で言った。  いたたまれないこのピンクの棚から、急いで離れたかったのだ。  しかし等は、さらに訊ねて来た。 「スキンは? 極薄タイプあるけど。あと、イボイボの付いてるのとか、面白そうだなぁ」 (面白くないよ~!)  泣きそうな蛍の腕を引き、等は桃色の買い物を済ませて店を出た。

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