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第四章・2
「あの、さ。『恋人』を『友達』に戻すことは、できないの?」
「出来なくはないよ。じゃあ、恋人やめる?」
「うん……」
「エッチするの、怖くなった?」
どうしてそれを、の言葉は、喋らなくても解る。
蛍の顔つきを見れば、一目瞭然だ。
「無理は言わないけど、一度大人と寝てみるのも取材になるかもよ?」
「え?」
「高校の時キスした子と、経験済みなんだろ?」
少年同士も初々しいけど、大人の落ち着いたセックスも素敵だよ、などと等は主張していたが、蛍の関心は別の所にあった。
(等は、僕がもう誰かと寝たことあると思ってるんだ)
違うのに。
こんな風に、手を繋ぐことも初めてなのに。
「一度、試してみようよ」
「うん……」
乗り気でないまま、蛍は夜を迎えた。
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