39 / 55
第四章・4
上顎をそっとかすり、喉奥を舐める。
蛍の舌に擦り付けられる等の舌は、柔らかいのにしっかりした固さをもって絡みついて来る。
「……っ、ふ。う、ぅん……」
(ヤだ。何か、声出ちゃった)
やがて、ぶらんと下にさがっていた蛍の腕を等は取り、自分の体に回させてきた。
温かな等の素肌をその手のひらに感じ取り、蛍はわなないた。
ちゅっちゅとキスの合間に、等は囁いて来る。
「可愛いよ、蛍。キス、巧いね」
そんなはずはない。
ディープキスなんて、生まれて初めてするんだから!
「んんぅ。は、あぁ。ん、はぅ……」
何とか抗議したかった蛍だが、等のキスにすっかり呑まれていた。
おかしい。
何か、変。
他人と唾液を絡めるなんて、気持ち悪いだけのはずなのに。
そっと等が唇を離した時、蛍の眼差しはすっかりとろんと蕩けていた。
ともだちにシェアしよう!