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第四章・8

 自分の下腹部に感じる温かさが、いたたまれない。 「うぅう……」 「泣かないで、蛍。とっても元気で、俺は嬉しいよ」  等は手早く、蛍の体にかかった体液を拭いた。 「じゃあ、本番いくね」 「待って、等。僕、確かめたいことが」 「何?」  はぁはぁと呼吸を整えながら、蛍はずっと胸に引っかかっていたことを吐き出した。 「等が僕を抱くのは、仕事だから? 恋人が、今の等の仕事だからなのかな?」  そんなことを考えていたのか。  等は、わずかに瞼を伏せた。 「半分、かな」 「半分?」  仕事半分、恋半分。  それが、今の等の正直な気持ちだった。 「初めは、仕事だったよ。でも、今は蛍にどんどん惹かれて行ってる」 「等」 「だから、蛍が俺を墜としてみせてよ。俺を、本気にさせてみなよ」  

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