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第四章・13

 はぁはぁどころか、ぜぇぜぇ言わせる蛍の呼吸を整えるよう、等はそっと体を、髪を撫でてやった。 「すごく悦かったよ、蛍」 「うぅ……」  ぐったりと動けない蛍に、等は冷たいミネラルウォーターを手渡した。  飲むより、それを額や頬に当てて涼をとる蛍だ。  しばらくそうやって時を過ぎし、彼がようやく落ち着いたところで、等は言った。 「初めてをくれて、ありがとう。一生の思い出にするよ」 「等……、僕も……」  僕も、等が初めての人で良かった……、のかな?  思い返せば、結構いじめられたような気がする。 「いや、あんまり蛍が可愛いもんだから、つい苛めたくなってね」 「やっぱり意図的に苛めてたんだ!」  知らない、とそっぽを向く蛍に苦笑し、等は彼に手を伸ばした。 「最後に、もう一度キスしよう」 「……」 「ね?」 「いいよ」  二人で、温かなキスをした。  今までで一番、心のこもったキスだった。

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