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エピローグ・4
心に穴が開いているのは、蛍だけではなかった。
「引き留めてくれるかと思ってたんだけどな」
ああ、もう蛍の世話が焼けないと思うと、虚無感に襲われる。
ぱん、と両手で頬を叩き、等は自分に活を入れた。
「さて、次はどんな仕事をしようかな」
オフィスに戻った等は、久しぶりに自分のデスクでサイトを開いた。
蛍のマンションでタブレットを使い、まめにチェックはしていたが、新しい依頼が数件入っているようだ。
「あれ? これは……」
『独りぼっちの小説家を見捨てず、ずっと一緒に居て欲しいのです』
にっこり笑うと、等は迷わずメールを返していた。
『承りました。末永く、よろしくお願いいたします』
そしてバイクにまたがり、颯爽と走り出した。
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