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エピローグ・6
「これは一体……」
「僕だって、お茶の仕度くらいはできるんだよ」
美しく飾られたテーブルにつく前に、等は無意識のうちにティーポットを持ち上げた。
それを、蛍が止めて来た。
「等は、座ってて。今日は、僕がお茶を淹れるから」
「いいの?」
「たまには僕が、等の面倒をみたいんだ」
思ったより慣れた手つきでお茶を淹れて行く蛍を見て、等は微笑んだ。
「何? ニヤニヤして」
「嬉しいな、って思った」
蛍は、頬を染めた。
嬉しいと感じてくれることが、嬉しい。
「さ、紅茶がはいったよ。パイも食べてね」
「ありがとう」
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