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 祐樹はすぐに戻ってきて、何かを孝弘の手に押しつけた。 「これ使って」  手のなかのものを見るとローションとコンドームだった。  それがわかったところでさっと電気を消され、常夜灯のみの薄闇になった。リアルにセックスするんだといきなり実感する。 「用意がいいんだな」  つい確認してしまったが、どちらも未開封でほっとした。いやべつに、未開封だからってなにもないって保証はないし、開封してたとしても何か言える立場じゃない。  祐樹は目を細めてそんな孝弘を見ている。  ぞくりと男を刺激する表情だった。そのまま体を寄せると耳元でささやいた。 「たしなみ、だよ」  大人の余裕を見せつけられた気がして悔しい。  ひとまずそれは枕元に置いて、シャツを脱ぎ捨てた。  なんだか現実感がない。祐樹はじっと孝弘を見ている。  そのまま、祐樹を引き寄せて口づけた。  ベッドに座ってキスを重ねながら、祐樹のシャツのボタンを外していく。  胸のうえに手を置いてみたら、祐樹の鼓動が指先に伝わった。すこし速い。  開いたそばから手を入れて、背中を抱き寄せて肌の感触を味わった。祐樹はいっさい抵抗しなかった。心配していたが、ちゃんと腕を回してくれてキスを返してくれた。  一方的な行為にするつもりはないとわかって安心する。  深く口づけながらお互い服を脱がせあって、あちこち触れた。  どこに触っても祐樹はとめなかった。  孝弘の唇が首筋から鎖骨をたどって胸の先に触れても。  そのまま舌でやんわり乳首を押しつぶすと、かすかに声を上げて背中をそらせた。ちいさな粒を甘噛みする。 「ん、あっ、あ…っ」  祐樹のこらえきれない声が孝弘の興奮をさらに煽る。  唇で挟んでいじると、そこは小さくたちあがってきた。もう片方を指先でこねながら、そっと祐樹の表情をうかがう。  喉をならす猫のような、うっとりした顔。  上気した目元の色がなまめいていた。 「気持ちいい?」 「ん、いいよ」  ささやきながら耳元にキスをする。  孝弘は片手で背中のカーブをいとおしみながら、ゆったり手を下して、腰の先の割れ目までたどる。滑らかな尻のカーブをなでて、前に手を回すと祐樹の性器に触れた。  他人のものに触れるのは初めてだ。  半ば起ちあがっていて、孝弘は安心する。  自分の愛撫にちゃんと感じてくれているのがうれしかった。 「おれも触っていい?」  祐樹がそっと孝弘に手を伸ばした。そこはすでにどくどくと力強く脈打っている。 「いいけど、ちょっとやばいかも」 「なにが?」 「高橋さんに触られたら、すぐいきそう」 「いいよ、べつに。女の子じゃないんだから」  祐樹はおかしそうに笑っている。 「いっても、まだできるでしょ」  お互いの手のなかで高めあった。  熱がどんどん蓄積されて、無意識に腰が揺れる。 「どうしよ、めちゃくちゃコーフンする」  祐樹に触られてると思ったら、あっという間に限界に近付いた。 「だしていい?」 「あ、んっ、いいよ…。おれも…っ」  荒い息をつきながら、お互いの手のなかに放熱した。  しばらくだまって息を整えていたが、孝弘はティッシュでざっと手をぬぐい、祐樹の手もきれいに拭いてやる。 「まだいける?」 「ん、いいよ」  もう一度、深く口づける。  舌を差し入れて誘いかけると祐樹のほうから積極的に絡めてきた。主導権を取られて、それがうれしくて気持ちよくて何度もキスを交わした。

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