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 もしかしたら東京で再会した時から、口説くつもりだったんだろうか。  そう思うと、くすぐったいような気持ちがふわふわとわいてくる。同時につきんと胸の奥に痛みも感じる。  孝弘の気持ちを疑うわけじゃないが、でもたぶん、自分はだめだ。  孝弘の相手はきっとちがう。  考えられたのはそこまでで、そのあとは体内に潜り込んできた指に思考もかき乱された。  ローションを足して浅いところで抜き差しを繰り返し、祐樹が思わず腰を揺らめかせるとさらに奥へと指をしのばせる。 「孝弘、あ、あっ」  ねだる響きで名前を呼ぶと、孝弘は嬉しそうに目を細めた。 「ここ? これがいい?」  指先がかすめた個所にびくっと背筋がたわむ。 「んっ、いい、そこ、気持ちいい」  熱い息を吐きながら孝弘を見上げたら、焼けそうなほど強い視線に縫いとめられた。  「中やらかいな。祐樹、かわいい」  確実に反応するところを責め立てられて、くちゅくちゅと音が立つくらいにとろとろになるまでなぶられる。 「あー、もう限界。入れていい?」  うなずくとほぐされたそこに孝弘の熱が触れてきた。  ぐっと体重をかけられて、圧迫感につい体が逃げようとする。  実は誰かと身体を交わすのはけっこう久しぶりだった。  ゆっくりと開かれたそこが昂ぶりを包みこみ、もっと引き入れようとあからさまに吸引しようとする。  それに羞恥を感じる余裕はすでになく、足を絡めてキスをねだる。  受け入れても痛みはなくて、ただひたすら熱いと感じた。  目線をそらさないまま、孝弘はゆっくり体を進めてくる。  愛しさのあふれる表情に、なぜか泣きたくなる。  こみ上げる感情を悟られたくなくて、祐樹は目を閉じた。  目を閉じていても、孝弘のまっすぐな視線の熱量を感じた。  両手で腰をつかまれて揺らされながら、意識して深く呼吸する。  中が喜んで孝弘を受け入れて絡みつくのがわかった。奥まで突かれて、びくびくと体が揺れる。  ささやかな胸の突起を舐められて、そこからじわじわと快感が広がる。 「気持ちいいよ、すごく」  素直に告げると俺もいいよとささやきが返ってきた。 「祐樹、祐樹、…熱くてやらかくて最高」  二人でリズムを作りながらどんどん高まりあっていく。  きゅうっと自分のなかが収縮したのと同時に中にいる孝弘を締め付けたのを感じて、それにも追いつめられて、祐樹は二度目の放熱を遂げた。  一瞬遅れて、孝弘がぶるっと身を震わせた。

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