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24 奪う2 三枝
背後から責められると、向野の手はどうすることもできずに、漏れる声を押さえようと口元にいくが、押さえきれずに零れてしまう。子どものように手の甲で涙を拭いたりしながら、もどかしさに耐えていた。自分の身体なのに、どうすることもできずに翻弄されている彼をたまらなく愛しいと思った。
そっと抜いた右手で、零れた蜜を掬い取り、また奥へと滑らせた。指で探りあてた、彼の感じるところを指の腹で刺激する。虫刺されを掻くようなスピードで指を擦り付ける。
「な…? あ…」
左手の中のものが大きくなるのを感じ、ぎゅっとさらに根本を締め付けると、身体が震えた。
「そこ、あっ、あ……」
中指が疲れると、人差し指に変え絶え間なく扱いた。同時に入口が弛緩するよう、関節を曲げながら出し入れした。充分に潤ったように、クチュクチュと音が聞こえる。喘ぎとともに、ビンビンと、三枝の中心に血液が溜まっていく。
限界を感じて、左腕で向野をベッドへ転がす。濡れた身体が離れると、空寒く感じ、背後からのしかかるように身体を合せた。向野がシーツを掴んで顔を埋める。腕を伸ばしてサイドボードからゴムを取ると、手早く装着した。
その動きに気付いて、起き上がろうとする向野の尻を掴んで上を向かせた。反動で、上半身はシーツに埋もれる。反り返った細い背中のラインが美しく、ゾクリとした。太腿を引き寄せ、膝をつかせるとそのまま、腰を突き出して圧し進めた。
「…っ」
シーツに埋もれて悲鳴が消えた。先端を挿入しただけでぎゅっと入口が閉じられる。息を止めて興奮を抑え、そっと腿の内側を撫でる。左手で腹を撫で、ゆっくりと上体へ滑らせる。雨で張り付いた服に噛みついて、めくり上げる。向野が息を飲むタイミングでまた、身体を進め溜めた。
「相変わらず、狭いね。あれから、彼としてないの?」
「…ぅああっ!」
酷いセリフで、さらに押し込む。膝を前にずらし、深く呑み込めるように双丘を掴むと、一度引いてまた進めた。逃げるように、向野がシーツを泳ぐ。腕が前に伸びるが、シーツにたてられた指は、三枝が腰を押し付けると縮まった。
向野の呼吸を意識しながら、腰を揺らした。三枝の手に収まる小さな尻を掴み、ゆっくりと回すだけで締め付けられる。つるりとした双丘を撫でると、背骨が綺麗なくぼみを描き、三枝の侵略をまた赦す。尻を撫でながら押し付けた腰を揺らすと、敏感に入り口が反応する。堪らない景色にもう、考えることは中断されていた。顔を押し付けて喘ぎを抑えようとする向野を攻めた。
ちょうどいい角度になるまで腰を動かし、先ほどの、向野が感じるところを擦りあてると向野の身体が深くのけぞり、顔を上げた。
「あっ…ん、あん、っあ…」
感じる度に、キュンキュンと締めつけられる感覚が、三枝にも刺激となった。
甘い声を聴きながら、左手を前に伸ばし、一緒にイケるように準備をした。
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