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第12話 結び

気持ちがぐちゃぐちゃのまま、誠の部屋に2人で入る。今までがあの人の手で仕組まれたことだった。あの人がタカを手に入れたいがために裂かれた絆。2人とも負った大きな大きな傷。そして今、大好きな人が同じ苦しみに耐えている。 「マコ?大丈夫か?」 「た…いが…さん、今、近づかないで…傷つけちゃう…」 歯を食いしばり緩慢な動きで服を脱いでいく。誠はもう自分がどこを見ているかわからないほど、糸見たいな理性を保っていた。大河はドアの前で立ち竦んだまま、脱いでいく誠の色気に圧倒され、動けずに見つめていた。 ベッドまであと少しのところで壁にもたれ足腰が立たないのか崩れ落ちた。 「ふーっ、ふーっ、ぅぁ、ぁっ、あっンーーーッ!!」 顔を真っ赤にしたまま、我慢できず下着の中で果てた様子で息を荒く吐く。 「は、は、おさまらない…っ、なに、これ…っは…こわいっ…っ!」 壁にもたれていた誠は前かがみになって拳を握ったまま震えている。楽になるどころかどんどんかさ増ししていく感覚に誠は恐怖しかなかった。 「んっ、んっ、あ、ヤバ、もぅーーっ!いやだっ、も、イきたく、ないっ…ぅああーっ!」 生理的な涙を流し、強烈な快感に飲み込まれそうな誠に、はっとしてかけよる。 「マコ、マコ。」 「大河っさん、ダメ!っはなれてっ…」 「マコ、1人で苦しまないで。俺のせいで、ごめん」 大河は誠の背中にそっと身体を寄せた。高熱の身体は真っ赤で震え、尋常じゃない汗をかいている。耐えようと必死で大河をはなそうとするが、本来ならこの有様は自分だったのだ。こんな時でも守ろうとする誠に、もういいよ、ありがとうと微笑んで、蹲る誠を仰向けに押し倒す。簡単に押さえつけられたことに驚くも、それよりも欲に支配された誠の表情に息を飲んだ。 「マコ…お前やばいな」 「はーっ、はっ、苦しっ」 「ん、今楽にしてやるから。」 重たくなった下着をあまり刺激しないように足から抜き取り、涙を流し真っ赤に腫れたそれを優しく口に迎え入れると、腰がビクビクと跳ね、喉をのけぞらせた。その顔は今までみたどの表情よりも綺麗だった。 出さずにイったのか不規則に跳ねる身体に止まらない荒い呼吸。どこを触られても感じるのか、手を身体に這わすと眉をさげて大河を見つめた。 「大河さん…っ、俺、大河さん、壊しちゃう…だから、はなして…」 強烈な快感と衝動に苦しみながら、濡れた長いまつげと涙を浮かべたまま懇願する誠に、大河は誠が好きだと言ってくれる顔で精一杯誘惑した。 「マコ、俺をぐちゃぐちゃにして?」 「っっ!…っ、は、大河さんのバカっ!!」 「ふっっっンっ!!っぁ!」 目がギラリとした誠はケモノそのものだった。大河を脱がしながらうつ伏せにし、うなじや背中に噛み付いた。見たことないくらい本能で求められることに大河の欲も痛いほど張り詰めた。誠の手がどんどん下に下がり、形のいい双極をぐいっと開き、性急に固く閉ざした蕾に指を突き立てられ、大河は声を噛み殺して耐えた。 「っっ!!」 「っは、っは、」 「痛っ、待って、痛い」 (あの時の…タカさんと同じだ) 思い出すだけで痛みや恐怖を感じ、身体が勝手に震える。先ほどの真実も頭をよぎり、どうしていいか分からないまま涙を流した。 (タカさんは本当は俺の事大切にしたかったんだ…。あの日、俺に告白しようとしてくれていたのに…。あの恐怖は薬のせい。あの薬がなかったら本当は俺とタカさんは…) 「大河っさん!!!」 名前を呼ばれ、突然背中に温かいものがかかる。同時に誠の荒い呼吸が聞こえた。何度目かの絶頂にも萎えることないソレに誠は頭が沸騰したように熱かった。誠の呼吸がおさまったと思ったと、ほっとした頃、その温かいものを指につけ、二本をゆっくりと孔に入れられる。先ほどよりゆっくりな動きに、いつもの誠を感じ大河はピタリと涙がとまった。 「大河さん、ごめんなさい。怖かったでしょ…」 振り返ると、波があるのか、先ほどよりはゆっくり息をしているが、やっぱりまだおさまってない苦しそうな誠。それでも大河を気遣おうと必死でおさえている。 「大河さん、愛してる。こんな薬なんかに、俺、負けたくない…。ちゃん、と、大河さんを、気持ちよく、させたいから、さっきは、痛くして、ごめん、なさい」 「んっ、んぁあ、は、ぁ、くっ、大丈夫だから、」 労わるように腫れたところを愛撫する。 「愛してるから…っ、大河さん、だから、ちゃんと、っ、俺を見てっ」 「くぅっ、ん、ん、っ、ぁ、はぁ、」 「ここ、でしょ、?、好きなっ、場所」 「っああ!はぁん!あっあっ!そこっ!」 「大河さん、どこにも、行かないでっ!俺を見て!離れていかないで!」 腰がビクビクと跳ねるのを誠はやっぱりギラついた目だが、その奥はなんだか悲しそうにも見えた。理性と本能のせめぎ合いの中、ついに誠の理性が切れた。 「入れるよ」 「ああああ!!!」 「は、は、は、んっ、しまる」 「っああ!んっ!!ちょ、っああ!速っ、い」 「ーーーっ!!……はあ、はぁ」 最初から飛ばす誠に意識が飛びそうになるがシーツを掴んで叫ぶ。中のものが一層大きくなりびくびくと震えた瞬間温かいものを感じた。 「ぁあ、んぅっ、出てるっ、熱い…」 「は、は、っ、もう一回…」 (うそ!?) 落ち着くかと思ったがそのまま腰を鷲掴みされ、さっきよりも激しく抽送が始まった。 「っっぃああああーーっ!!」 「はーっ、はーっ、は、は、は」 「んぁああ!っあ、イクっ!ぁあっ!やぁっ!出ちゃっ!」 「ーっ!きっつぃ…っんん!!」 突然の絶頂に中を思いっきり締め付けると、中の誠がさらに欲を飛ばした。 「はぁ、気持ちイイ、はぁ、また、出そう」 「ぃやぁああ!も、やめてぇっ!!!」 「は、は、っぁ、あっ」 イッたばかりで辛い身体に御構い無しに先ほどのスピードのまま中をかき混ぜられる。聞いたことない水音が下の方から響き、誠の欲が足を伝う。 激しい律動は、ずっとイク直前のような快感を与え続け、胸をコリコリといじられ大河は叫び続けた。 しばらくすると、ズクンと奥からせりあがってくる快感に目を見開いた。 (なにこれ…なんか、ヤバイっ!) 「マコ、ちょっと、ぁああ!待って、ストップ!!」 「は、はっ、はっ、は!」 「お願いっ!マコ、マコぉ!!やだぁ!もっ、助けてっ!くるっ、ぃやっ、なに、ぁぁあっ」 「大河さん、大河さんっ、」 「いやっ、マコっ!!やだ!くるからぁ!!」 大河は首を振って衝動を逃がそうとするも追いつかれる。誠の腰を掴む手を握るが自分の手汗で滑って結局床に爪を立てる。その手を誠の大きな手が包み、奥の奥まで穿ってきた。 勝手に腰が反っていく。押し込まれて脳まで快感が回って浮いたような感覚になった。 「っああああああーーーッ!!!!」 そのまま意識がとんだ。 「ぐすっ、…っく、ひっく…ぅうっ…」 遠くから泣き声が聞こえる。左手をずっと温かい手がさすってくれている。 「…っーーっ」 (声がでない) 「大河さん!大河さん!!」 「ーっ、」 「大河さん、ごめっ、ごめんな、さいっ!」 号泣した誠がぎゅーっと抱きついてきている。大丈夫って言ってあげたいのに声が出ない。微笑んで頭を撫でると決壊した涙腺からとめどなく溢れる涙。その後、ううっ、と口を押さえてトイレに走っていった。 嘔吐している様子の誠に寄り添いたいが身体がピクリとも動かない。 誠は薬の副作用で高熱と嘔吐、眩暈に襲われていた。ケータイを取ってもらい連絡を見ると、移動は明日に延期したようだった。誠は嘔吐が落ち着くとソファーに勢いよく倒れこみ死んだように眠った。ベッドからも見えるその額には大粒の汗、上気した頬とうなされているのか眉間の皺を深く刻んでいる。 大河はベッドで横になったまま、昨日の出来事を思い出す。タカさんが歌よりも自分を選ぼうとしていたこと、あの日、自分に告白するつもりだったこと、それ全てを隠して憎まれ役を演じ続けたこと、考えれば考えるほど涙が溢れた。 「恥ずかしいほどにお前に夢中だったよ」 あの車で言ったことの重みが今のしかかる。大河はあの時、本当にタカに憧れ、尊敬していた。タカはずっと変わってなかった、たくさんの愛を持って育ててくれていたのだ。 「ごめんなさい…、信じきれなかった俺を許して」 大河は波が枯れるまで静かに泣き続けた。目の前の苦しそうな誠よりも、大河の頭はタカのことでいっぱいだった。 ガチャ 合鍵で入ってきたのは伊藤とレイと 「シュウトさん…?」 やっと出た声に大河は内心安心しつつも意外な人の登場に驚く。整った顔からはなんの感情も感じられず、緊張が走る。 「あ、こんにちは。ごめんね、大変な時に」 「大河、大丈夫か?ってあれ?マコの方がやばそうだな。」 「マコー、熱測るぞ。あら、起きないな。」 レイが体温計を誠の身体に挟む。苦しそうに魘されながらされるがままだ。 「大河、昨日はありがとうな。青木もよく動いてくれたよ。」 伊藤は対応に追われていたのか疲れ切った顔でソファーにどかっと腰掛けた。その隣にはシュウトがゆっくりと腰掛け、長い足を組んだ。 「誠くんの副作用は短くても1日以上は続くから移動は無理だと思う。今日はゆっくり休んで」 シュウトが始めて表情を変え、心配そうに誠を見つめている。タカと同じグループのシュウトなら何か知っているかも、と顔だけを向けた。 「以前タカさんも同じ薬を飲んだって聞きました。」 「うん、タカも、君の事件の後、美奈子さんの家に引き取られていたんだ。けど、副作用が美奈子さんの手に負えなくて結局病院に担ぎ込まれて美奈子さんの薬のことが発覚したんだ。」 シュウトの話によると高熱、嘔吐、眩暈が続き、脱水で失神もあるようだ。さらに、と付け加え言いにくそうに言った。 「タカはあまりのショックから、そんな極限状態でも何度も自殺未遂をしていた。もちろん事務所は公表してない。声も出さずに筆談でひたすら『歌いたくない』って書きなぐっていたよ。それに美奈子さんを見ると点滴を抜いてまで逃げようと暴れた。聞けばタカが練習生になる前から美奈子さんはご執心で、タカと体を重ねたとの噂もあったらしい。練習生とはいえ所属のアーティストに手を出したことで、その事件の少し前に、今の社長がまだ専務だった時、美奈子さんを事務所から追放したのさ。」 シュウトは席を立ち、今度は誠に寄り添うレイの隣に腰掛け、淡々と話し続ける。伊藤が入る前の出来事は、伊藤や大河、レイも知らされていない事実がたくさんあった。 「美奈子さんは、タカだけがいれば他は必要ないという考えの人なんだ。女優を辞めて裏方に回ったのもタカのためだ。「天才」は私が管理しなきゃって。タカの周りにいる人間をこぞって消しまくっていたよ…。恋愛体質なタカだからその人しか見えなくなる…その度に美奈子さんに消されてはボロボロになって周りが支えてきた。」 ピピッと体温計がなるとレイがギョッと驚いた。 「40度!?おいマコ!大丈夫か!意識あるか?」 「…っ…っ…」 「病院に行きましょう。脱水になるかも」 3人が慌て始めるのに、大河も声を上げた。 「伊藤さん!俺も、行きます!」 「いや、大河は休んでろ。伊藤さん、シュウト、マコをお願いします!」 「なんでだよレイ!マコは俺のせいで!」 「ダメだ!大河、今はしっかり休め。」 伊藤とシュウトがマコを担いで病院に向かった。急に襲う不安に大河は胸をぎゅっと握る。 レイは大河のその手を取ってじっと見つめた。 「大河。はっきり言うぞ。今のお前にマコは写ってない」 「え?」 「今、お前の中にいるのは過去のタカさんだ。」 「……。」 (「大河さんっ、俺を見てっ」) (「どこにもいかないで」) 「全ては終わったことだ。今優先するのは目の前の恋人じゃないのか?」 「……。」 「厳しいこと言ってごめん。お前の気持ちはお前しか分からないし、お前が消化しなきゃなんない。ただ、マコは自分のしたことを痛いほど後悔しながらもお前を気遣ってた。」 ーーーーーー 「レイさん!俺っ、ぐすっ、ひっく」 「落ちつけ、どうした?」 「大河さんを襲っちゃった…傷つけた…レイさんと…っ、約束、したのにっ、俺っ、止められなかった…っ薬に負けてっ、大河さんが、起きないんだっどうしようっ」 ーーーーーー 大河は自分の身の回りを改めて見てみると体も綺麗に整えられ、服もきている。誠はあの副作用の状態でも大河を優先していた。 抱かれている時もタカがよぎっていた大河はレイの言葉に黙った。 (マコも気付いてた…) 「大河の様子を見にきて欲しい、と頼んだのはマコだ。マコの方が体調は最悪そうだったけどな。大河、いいか、もう一度言う。過去は過去だ。タカさんの話も全て終わったことだ。分かるな?」 大河は気持ちがあの日に戻っていたことを気付かされた。ショックと嬉しさと裏切られてなかったという安心。大河にとってはあの日は人生で1番大きなインパクトのある日だった。 「レイ、ありがとう。俺、あの日置いてきた感情が救われて、俺もタカさんもあの日みたいに感じたんだ…。でも、今はちがう。それぞれに大切な人ができて、今がある。分かってる」 「おうおう!思いっきり泣け!この厚い胸で受け止めてやるぜ!」 「っひっく…うるせぇ…っ…っく」 「大好きだったんだな」 「うんっ…」 「大河のこと、大切にしてくれてたんだな」 「うんっ…」 「良かったな」 「ふっふぇぇっんっぐすっ」 はは、ぶっさいく、と笑いながらも頭を撫でられる。この包容力に安心しながら大河は気がすむまで泣いた。 「ぅうっ、ーーっ、んっ、ーーっ」 病院に行くと誠は点滴を受けながらも熱が下がらず汗をかき、魘されていた。大河が手を握ると冷たい手が気持ちいいのか、心なしかふっと呼吸が落ち着いた。 「マコー?いつもありがとうな?大丈夫だよ、お前には俺がついてるから」 「ーーっ、は、ーーっ」 「お前のそばにいるよ。不安にさせてごめん」 「っ、…っ」 「マコ?…泣くなよ…」 目は開かないが涙がポロポロと流れ始めた。大河は周りに誰もいないのを確認して涙をペロリと舐めた。 「守ってくれてありがとう。我慢きつかったろ?お前…レイに聞いたぞ?俺の心配よりまず自分の心配しろよなぁ…40度なんかそんなに出るもんじゃないぞ…」 まだ流れる涙を何度も吸い取る。 「俺も愛してるよ…ちゃんとそばにいるから、今はゆっくり寝ろ」 ふわふわパーマの頭を撫で続けると、呼吸が穏やかになって寝息が聞こえた。 安心したような寝顔が昨日とまるで別人で笑みがこぼれる。 腕をさすりながら大河も夢の世界に堕ちた。 「…たぃが…さん」 「ん…っ、マコ?」 頭を撫でられて大河は目を覚ました。まだ横たわったままの誠が愛おしそうに微笑むから寝起きの顔が真っ赤に染まる。 「熱は?」 「さっき、測ったら、39度に、下がった」 声が出しにくいのか途切れ途切れだがしっかりと伝えようとしている。 「まだ高いなぁ、本当に大丈夫か?」 「ーーっぅ、ん」 大河がおでこに手を当てただけで誠は突然泣き出して慌てる。 「ど、どうした!?痛かった?ごめん!」 「ちが、う、本当、に、大河、さん、ごめん、なさいっ。もう、嫌われたかと、思ったから」 点滴がついたままの手を子供みたいに顔に覆って泣きじゃくっている。高熱だからかいつもよりもだいぶ幼い仕草で、素直な気持ちを伝えてくれる。 大河は頭を撫でで、大丈夫だと言い続けた。 一通り泣いて疲れたのか夕方頃まで誠は眠っていた。大河もその隣の椅子で爆睡していたが、コソコソと入ってくる気配に目を覚ました。 「わ、起きちゃった」 「しーっ、静かに!」 「レイさん!もう大河さん起きてるから!」 「え?あ、はは、おはよう大河」 コソコソ入ってきたのは青木とレイだった。大河ら伸びをして首をパキパキと鳴らした。 「マコちゃん大丈夫?」 「熱…まだ測ってないな」 「でも朝より呼吸は落ち着いたな」 三人で誠の顔を眺める。すやすやと気持ち良さそうに寝てるのをみて三人はふっと笑った。 「ユウは?」 「タカさんのとこ。カナタさんが、あいつカッコイイなぁ〜って感心してたよ」 「ユウは誰でも関係なく向かっていくもんなぁ。怒ってるユウはもう見たくないや、怖すぎだもん」 たしかに、とレイは苦笑いするも大河は見たことがなかったから頭に?を浮かべていた。 「タカさんは俺が守るって部屋乗り込んだらしいぞ」 「ひぃいい〜もうあの人と会いたくない…。あのタカさんが太刀打ちできない人だもん…」 あの美しく魔女みたいな人を思い出す。自分とタカを引き裂いた人。あの人は本当にタカしか目に入っていない。 「ユウは、大丈夫だったのか?」 「分からない。伊藤さんには明日の朝合流するって連絡あったみたいだよ」 「連絡とれるならよかった…」 レイが誠のために持ってきたバナナを無意識に食べていて青木に突っ込まれて病室が笑いに包まれる。ライブツアー初日は濃すぎる一日となった。

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