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第17話 進むための詩

「へ?2人で曲を?」 そうみたい、と大河がいうと昼過ぎに帰ってきた優一は、目をキラキラさせて聴きたい聴きたいと騒いだ。嬉しそうな優一につられて大河もワクワクしてくる。あの兄弟みたいな2人が作るのは一体どういう曲なのか。昨日おやすみの電話ができなくて少し拗ねた大河だったが、仕事に繋がることを邪魔したくはない。大人になれと言い聞かせて切り替えた。 大河と優一は隣の部屋に行くと、緊張した面持ちの2人がリビングでちょこんと座っていた。多男2人が小さくなっているのを見て、小さな2人はクスクス笑った。 「俺曲を作るの初めてだったから、おかしなところあったら教えてほしい」 「青木がメロディー作ったの?!すごいじゃん!」 優一が花が咲いたような笑顔で驚くも、気まずそうに目をそらした。優一は不思議に思いながらも誠を見て詩も楽しみと言って、また目をそらされた。 「分かるぞー!はじめは緊張するよな!俺もそうだった!さぁ!聴かせて!」 大河は微妙な空気を気にせず、まずは曲が聞きたかった。青木がパソコンからデモのファイルをクリックした。 ピアノで作ったにしてはアップテンポで青木のパソコンでの技術がいきていた。加工や編曲も美味そうだ、と大河と優一は関心した。 低いパートは青木が、サビや主旋律は誠が歌い、この2人の歌声は心地よくマッチングしていた。 大河はここまで誠の歌声を中心に聞いたのはレイとのユニット以外ではあまりなく、内心とても嬉しく、ドキドキしていた。 (いい声だ。こいつも歌うまいよなぁ) いつもはハモリやAメロだけの誠がもったいなく感じていた。目を閉じて聴き入っているであろう優一を見ると、大きな目をこれでもかと見開き、その目には今にも溢れそうな膜。 その視線の先には青木の優しくも苦しそうな、なんともいえないほほえみ。大河はふと誠を見ると、誠もそんな2人を眉を下げながら見ていた。 青木の気持ちを代弁するかのように誠の優しい声が響く。ついに雫が溢れると大河はそっと優一を抱きしめた。 「……」 「…っ、」 「優一」 大河は優一の頭を撫でながら優一の言葉を待つ。青木の気持ちと、誠の次へ背中を押す気持ちが合わさった歌。2人のメッセージ。 「っ…聞かせてくれて、ありがとう」 「うん」 「おれ、この歌、好き」 優一は、本人に伝えることはできない言葉を歌に向けて伝えた。 青木はその言葉に綺麗な笑顔を見せた。 「ユウ、ありがとう」 「…っ、うん、」 「まだ俺はガキで、また、抑えられない時もあると思う…けど、ゆっくり、進むから。これは、俺の進むための、歌なんだ」 「…ぅん」 「昨日はごめんなさい。でも、昨日言ったことは全部、本当。俺の気持ち、忘れないでほしい」 「うんっ、…ありがとう」 「マコちゃんも、ありがとう」 「いーえ!」 いい雰囲気になったところで、優一は鼻をすすり、大河に抱きしめられたまま、自分の頬をパチンと両手で打って、その後ニコリと笑顔になった。 「はい、じゃあダメ出ししまーす!」 「「「えぇー!?」」」 みんなのリアクションに優一は冗談だよぉと笑って、全員がずっこけた。だが、その後、アドバイスという名のダメ出しが入りその場で修正させられていた。 (やっぱプロデュースやるぐらいだから違うな) 「まこちゃん、このパート、青木の聴いてみたいんだけど、どうかな?」 「うん!実は俺もここ、青木にしなよって言ったんだ!ほらぁ、言ったじゃん青木ー!」 「だって…」 ここのパートの歌詞は青木の気持ちそのものだ。本人の声で聞きたいが、誠に説得されるも青木はずっとゴネている。優一は一瞬目を閉じたあと、青木にぎゅっと抱きついて下から顔を見上げ、コテンと顔を傾けた。 「俺、青木ので聞きたいな?」 「っ!!?…ユウ!ズルいよ!!そんな甘えた顔して!……あぁもう!分かったよ!分かったから!やるから!上目遣いやめて!はなれて!」 優一のおねだりに青木は顔をこれでもかというほどに真っ赤にして、苛立った様子でヘッドホンをつけた。 大河と誠は驚きすぎて口を開けたままだった。 「お、お前、今のすっっごいあざといぞ」 「歌い手を乗せるのもプロデューサーの仕事だもーん。使えるモノは何でもつかうよ」 へへっと笑った優一にウインクされ、思わず大河も顔が赤くなった。 (こいつ、ただもんじゃないぞ…!) (優くんすごい…あれは誰でも落ちる!タカさん大変だ…) 行きます、と音源を出す優一は、さっきのあざとい顔から一変、真剣な表情で青木とパソコンを見つめる。その空気に大河と誠は別の意味で固まった。青木が歌い始めると切ない歌詞と、低音の声がかなりしっくりきた。 「うん!いいね!青木のパートでいこう!」 「あ、ありがとうございます」 「敬語!?」 思わず敬語になるほど優一はコロコロと表情や空気をかえた。しばらくして青木の部屋の機材で音を足すということで優一と青木は、青木の部屋に篭った。誠は少し心配するもつかの間のオフを大河とゆっくり過ごそうと部屋に誘った。 「なんかお前の部屋久しぶりだな」 「いつも大河さんの部屋にお邪魔してるもんね」 誠の部屋はだいぶ殺風景だ。だが、ベースが出された形跡がある。 「最近弾いてたのか?」 「うん…。やっぱ俺楽器好きみたいで。優くんみたいに上手ではないけど、落ち着くんだ。ダンスが苦手っていうのもあるけど、本当はバンドとかやってみたいなぁ」 伊藤から、はじめは誠に断られたという話を聞いたことがあった。大河の歌声を聴いて、そして優一も一緒だったことが決め手となったが、本来はバンドが好きだった。誠の部屋にはたくさんのCDが置かれているが全てバンドかジャズだ。誠はそっとベースを抱え、適当に弾きだした。落ち着くのか穏やかな表情からどんどん集中していくのが分かる。 「マーコ。俺のこと見えてる?」 「ははっ!もちろん見えてるよ!大河さんもやってみる?」 「ギターだけで精一杯だよ」 笑って答えると、誠は高校の時のオリジナル曲を弾きながら歌い始めた。本当に楽しそうに微笑みながら歌う。一曲全部ソロで聴いたのは初めてだった大河はうっとりと聴き入っていた。 (本当に聞き心地のいい声だ) 大河は頬杖をついて自然と笑みがこぼれた。少しずつ増えていく誠が好きなこと、嫌いなことの小さな発見。誠とぶつかったあの日から小さなことに感動して、小さなことに喜びを感じるようになった。そして無邪気なところや雄になるところなど、いろいろな誠にドキドキしっぱなしだった。 ザ・優男の誠は、柔らかい印象で男に襲われるくらいの色気があるが、ある程度を越えると雄に変貌する。捕食者のように大河しか見えていないあの瞬間がたまらないのだ。 「大河さん?おーい」 「はいっ?!」 「どうしたの?考えごと?」 歌を途中で止めて大河の顔の前で手のひらをヒラヒラとさせる。歌が止まってしまったことを残念に思い、大丈夫だよ、と答えるとベースを置いてふわりと抱き寄せられた。 「大河さーん。大好き」 大型犬みたいに甘えられ、大河は顔が緩むのを自覚した。壁一枚隔てたところに優一と青木がいるのに大河はドキドキが止まらなかった。 ガタンッ 「「え?」」 その隣の部屋から大きな音がした。2人は顔を見合わせて耳を澄ませる。 「んっ…っ、ぁおき」 ドンッ、バサッ 「やば!優くん!」 慌てて誠が隣の部屋に向かって、大河は訳もわからずついて行った。 「青木!」 「…あ、マコちゃん」 ドアを開けると重たそうな機材を抱えた優一と、それを支える青木。運ぼうとした所で重くて持てない優一が上に乗っていた楽譜を全部ばら撒いていた。 「まこちゃん!手伝って!重いっ」 「…っ、ああ!ごめん!よいっしょ」 なんとか立て直し、場所を固定するとふぅーっと優一は青木のベッドに腰掛けた。 「ごめんね!大きな音出して!ちょっと移動させようと思ったら、重かった…」 「重いって言ったのにー!マコちゃんすぐ来てくれて助かったよ、ありがとう」 2人が感謝するのを誠はぎこちなく頷いて顔を真っ赤にして部屋に戻る。大河は疑問符でいっぱいだった。 「あーびっくりしたぁ」 「ん?何だと思ったんだ?」 大河は首を傾げると、突然手首を掴まれベッドに押し倒された。 「ま、マコ?」 「こうされてないかなぁ、って焦った。でも一安心」 見上げた誠は苦笑いして手首をはなした。大河はさらに疑問符が浮かぶ。優一がタカにぞっこんなのは誰がみても分かるのに手を出すのか?と不思議だった。先ほどの青木と優一との会話や歌詞から、大河は全てが繋がって、ハッと誠を見ると苦笑いしながら頷いた。 「青木は常に自分と闘ってるんだ。だからアシストしてあげないと…優くん無自覚だから…」 さっきのあざとさを見ると大河も青木に同情した。 「大河さんも同じくらい無自覚だからね?」 「は?そんなことないだろ。」 大河はきょとんと誠を見つめた。優一ぐらい愛嬌があればもう少し人に好かれてもいいはずだと思っている。 「無自覚って恐ろしいよねぇ〜。俺以外にしてると思ったら本当耐えられないもんね」 「って言われてもなぁ…どういうところがどうなのか分からないしな。ま、お前みたいな物好きは少ないだろ、安心しろ」 「安心できなーい。大河さん押しに弱そうだもん」 「弱くねーよ。…頑張って信頼取り戻すからさ、そんな不安にならないでくれよ」 誠の不安は自分のせいだと、大河が眉を下げて誠を包んだ。 すると思い切り抱き返されベッドに押し倒しされる。 「俺じゃない人にこうされたらどうする?」 「…っ、そんなこと…」 「あったよね?」 「お前っ…」 いつスイッチが入ったのか、誠が最近からよく見る雄の目をしている。別人みたいな態度になるのが怖くもありゾクゾクとする自分もいる。 「どうする?」 「抵抗するに、決まってるだろ?」 「してみて。」 「え?」 「俺から逃げてみて」 両手首を抑えられ完全にマウンティングされる。見下ろす目は変わらず欲をにじませたままだ。大河は意味が分からずまたきょとんと誠を見た。 「その顔はダメ。お仕置き」 「ンっ!ちょ、やめろっ!隣いるだろ!ふざけんな!」 耳を優しく舐められてゾクッと腰が重くなる。大河は本気で凄んでみるが誠はビクともせず、上から見下ろしたままだ。 「抵抗できないなら、聞かせるしかないよね」 「じょ…っ冗談だろ!?なぁ、ごめんって!気をつけるから!な?はい、おしまい!どいて!」 大河は引きつった笑いでなんとかこの状況を脱け出そうと必死だった。しかし誠は全く表情を変えず、真っ赤な舌で自分の唇を舐めた。 (やばいっ!!) 大河は焦りを隠さないまま、もがいて拘束を解こうと力を込めるも簡単に抑え込まれた。微動だにできない恐怖に一瞬あの時のことがフラッシュバックした。 「っ、ぁ…っ、」 カチカチと歯が鳴り、ガタガタと身体が勝手に震える。タカの真実を知ったとしても身体は恐怖を覚えていた。 「っは、っは、っは」 目を開けているのに、景色はあの時のまま。 (誰か…助けて) 「んぅ…っ、はぁ、んっ」 突如温かいものが口に入ってきてゆっくりと絡められる。マッサージでもしてるかのようにゆっくりと気持ちいいキスで大河の強張りが弛緩していく。掴まれていた手首は解放され、手には大きな手と温かい指が絡められている。だんだん視界がクリアになると、目だけで優しく笑う大好きな人。一気に安心して握られた手に力を込める。 「ごめん、意地悪しちゃった。大丈夫?」 「馬鹿野郎が…。も、怖いからやめて」 「ごめんね。でも、わかってほしいんだ…他に取られたくないから…」 「俺は今、誠が目の前にいて、すごく安心してるんだぞ。俺だってお前じゃなきゃダメだから。ほら、お前って分かったから」 震えも止まって、逆に熱くなった身体。大河の手が固くなったものに誠を誘うと誠は嬉しそうに笑って首筋に顔を埋めて、もう一度、ごめんね、と呟いた。いいよ、という気持ちを込めて頭を撫でると大人しくしていた誠の手が怪しく動いた。 「待って…、触るな…、ほっといたら落ち着くから」 「俺のせいだもん。ちゃんと責任とるから」 「あぁっ、マコっ、本当に、やめろって」 「はい、おろしまーす。」 抵抗するも下着ごと脱がされ、外気に当たってぶるっと震えた。誠に高められた熱は先端に露を滲ませていた。 「お願い、本当に、やめて!後で、後でにしよ?な?」 大河は足をもじもじさせながらなんとか今は避けるため誠を説得するも、最近、言うことを聞かない大型犬はまた先ほどの目でニヤリと笑っていた。 (このドSが!!) 心の中で悪態をついて、真っ赤な舌を伸ばして熱に触れる直前で目をぎゅっと閉じた。 「んぅっ、っ、はぁ、」 「ちゅる、んっ、」 「っ、くぅ、っ、ぁっ、」 腰が勝手に揺れ、折れそうなくらい歯をくいしばって声を抑えていた。 ドンドンドン! 「っ!」 「まこちゃーん!ベース入れたいんだけどー」 「んー?ベース?」 「っ、っ」 (嘘だろ!?) 誠は大河のを口や手で可愛がりながら外の優一とのんびり話し始めた。 一気に羞恥が高まり、逃げたい気持ちとは裏腹にどんどん快感がカサ増ししていく。 「えーっと、アンプのコードがずっと無くて…どこやったっけ…」 「んもー!まこちゃんまた無くしたのー?見つかったら隣来てね?」 「ごめーん。隣行くね!」 さっきまで弾いていたのでアンプのコードはすぐそこにあってすぐ使える状態だ。時間を置いたのは目の前の恋人を可愛がっている最中だからだ。 優一が隣の部屋に入った音を確認して、誠は愛撫をだんだんと強くした。 「まこっ、もぉっ、だめぇっ」 「あは、スリル満点だね。大河さんも興奮してるね」 「も、最近お前…意地悪ばっかり…」 「だって可愛いんだもん」 「くぅっ、っ、ぁ、っ、っ」 「んむぅ、ちゅっ、」 誠の口内が熱くて気持ちよくて、大河はくしゃりと誠の髪を掴み、登っていく快感に意識を集中させた。奥からせり上がってくる止められないものに支配される。 (もう、っ出る!) 最近はイク時に誠に言っていたが今日は声を抑えられる自信もなく、歯を食いしばって、そのまま腰が浮くのに身を任せた。 「…っ、ああっ!んンッ!!」 思わず、本当に我慢できない声が出てしまった。誠の口に放ちながら荒い息を吐き、涙目のまま誠を見つめるとゴクッと喉を鳴らした後、ニヤリと笑っていた。 「 バレたね、これは」 その台詞で顔が真っ赤になる自覚があった。誠は大河のモノを綺麗に拭いてあげていたが、もう隣の部屋に行けないと大河は両手で顔を覆った。 その大河を慰めるように髪にキスしていると誠は隣の部屋の物音に気付いた。 「…?」 誠は大河の処理を終え、手を拭きながら隣の部屋の壁を眺めた後、はっとして慌てて隣の部屋に行った。 「こら!青木、出てきて!今回は俺が悪かった!ごめん!!」 放置された大河は布団に包まって落ち着くまで寝たふりをすることにした。 (恥ずかしすぎる!) 青木がドアを開けたのは誠がしつこくドアを叩き続けてから五分後だった。そこには2人して顔を真っ赤して、優一にいたっては足をもじもじとさせて俯いていた。 「青木?まさか」 「え、いや、あの!」 「ま、まこちゃん、俺は大丈夫だから!」 誠は交互に2人をみるが、今回は自分のいたずらからの事でめをつぶることにした。 「これは、みんなの秘密にしよう」 誠の提案に2人はコクコクと頷いた。その後青木はトイレに走っていったが優一は下を向いたままだ。 「優くん…」 「今回のはまこちゃんが悪い」 「ごめん、聞こえてた?」 「まこちゃんたちの、俺はよく聞くから慣れてるけどさぁ…青木は初めてだったみたいで…。もう…まこちゃんのバカ」 「ごめん。大丈夫?何かされた?」 優一は顔を真っ赤にして俯いた。 「何かって…俺のも、聞こえてたんでしょ?」 「……うん。」 「もうちょっと遅かったら危なかったかも…頑張って抵抗したけど…ちょっと…はじめ気を抜いてたから反応しちゃった。」 優一は反応してしまった罪悪感と中途半端に高められて居心地悪そうに縮こまっていた。 「ごめん…」 「あ、今ハグもやめて…ちょっと今はだめ」 いつものようにハグをしようとするも、ダメと弱々しく抵抗する優一の目は潤んでいて、見慣れた上目遣いもドキっとした。 (これはエロい…青木、よく我慢した) とろんとした目で落ち着かせようと、自分の身体をぎゅっと抱きしめている。ぼんやりとどこかを見て、はぁ、と色っぽいため息に誠は少し焦った。 「ゆ、優くん、一回部屋戻ったほうがいいかも。今、青木に会ったらたぶん青木は無理だ」 「ん…そうする。なんか、おさまるの時間かかりそう…タカさんに電話してくる…」 いってらっしゃいと見送り、誠はしっかりと反省し、怒っているだろう恋人にどう言い訳しようかと普段使わない頭をフル回転させた。 「タカさん…」 「…どうした?大丈夫か?」 「タカさん、何か喋って」 「急に何かって言われてもなぁ…。あぁ、そうだ、今度事務所でのドーム公演があるらしいぞ。この日だけのグループシャッフルでいくつか分かれるらしい」 「んっ、そう、なんだぁ、一緒にできたら、いいなぁ」 「ん?…優一?なんか…変だぞ?大丈夫か?」 「タカさん、もぉ、出るっ、出ちゃうっ」 「え?お前、まさか」 優一はタカの声を聞いただけで自分を慰める手が止まらず、腰が勝手に跳ね、いつも1人で触る時にはない快感に支配された。目の前にいるような錯覚で必死にタカに訴える。 「は、んぅっ、ぁっ、ぁっ、タカさん、好きって言って」 「……優一、愛してるよ」 「っ!!っぁ、ンンーーーッ!」 優しさと甘さをたっぷり含んだ声で、優一は一気に絶頂を迎えた。 はぁはぁと電話を持ったまま、反対の手に欲をぶちまけると、電話口からタカのため息が聞こえる。 優一もビクビク跳ねるとの合わせて荒い息を吐いた。 「優一、大丈夫か?」 「はぁ、は、タカさんの声やばぁ…気持ちい」 「俺、仕事中なんですけど?」 「えっ…あ!ごめんなさい!」 「ふふ、大丈夫だよ。今は喫煙所。思わぬご褒美だな。お前のイくときの声聞けるなんて」 柔らかく笑う声が聞こえて優一は少しほっとした。やっぱりタカの声がないとダメだと優一は確信した。 「前ね、1人でシタ時はイケなかったのに…タカさんの声聞いたらすぐ出しちゃった」 「こら…仕事中だって言っただろ。こんなの聞かされたら今すぐ抱きたくなる」 「ね、今日も会いたい。」 「明日の入り時間は?」 「朝一…だけど、今日どうしても会いたい」 素直に言うとタカは嬉しそうに笑って、迎えにいくから終わるまでいい子にしてろと約束し電話を切った。 (すぐにでも会いたい) 優一は曲作りは休憩、と言い聞かせて手や身体を拭いてベッドで目を閉じた。 「青木、大丈夫か?ごめんなさい…」 「今日本当にやばかった。ユウが本当エロくて、顔も声も敏感な身体も全部ドストライクすぎて…鼻血出そうだった…」 (青木今、隣行っちゃダメだよ) (え?どうして?) (エッチしてるから) (ええ!?部屋で!?…わぁ、本当、大河さんの声?これ。AVみたい) (まこちゃんってば…。ちょっと曲づくりは休憩しよ。俺も部屋に戻っ…んぅ) (やだ、行かないで。ユウ、んっ) (んっ、やっ、ふぅっん、んっ) (可愛い…ユウ、キス好きなの?力が抜けてる。ここも、固くなってきた) (やだぁっ、膝しないっで、ンっ、だめだよぉ、青木っ、だめっ) (なにそれ…全然抵抗できてないし…可愛いすぎる…。わ、乳首もピンクで綺麗…もう固くなってるよ?触っていい?) (ンッ!は、もぉ、やだぁ、しないで、お願い、青木、ダメっ、んぅ、っあ!) 「おーい!青木!鼻血!」 「え!?あ、ごめん!」 青木はしばらくニヤケながらぼーっとしたあと、ダラリと鼻血を流した。呆れてため息を吐いてると青木の部屋に顔を真っ赤にした大河が毛布をくるんでひょっこり覗いている。 「お前、放置すんな」 「「可愛い!!」」 2人の声が揃った。 拗ねた大河が部屋に戻るといい、慌てて誠が追いかけた。大河も中途半端に高められ、行き場のない欲を循環させていた。大河の部屋に戻ると、優一が隣の部屋にいることも忘れ、貪るように大河の身体に食いついた。 「っふぅ、ぁ、痛いっ、噛むな!」 「はぁ、大河さん、大河さん」 「ぁああっ!ンンッ、も、乳首取れそうっ、やめろっ」 「は、は、は、は、」 大河は誠の荒い呼吸で、理性が飛んでることを察した。本能で求めてくれるのが嬉しくてよけい感度が高まる。乱暴に服を脱がされ、上からじっとりと見つめられる。もう癖になってそうな舌舐めずりは大河のスイッチを入れる瞬間でもあった。 「っ!?」 急にうつ伏せにされ、腰だけを上げさせられる。足も広げられ、息だけがかかる。それだけでもビクビクと腰が跳ねるのを止められない。誠はそれを見て可愛いと呟き、柔らかな双方に真っ赤な跡を残す。触れてほしいところに全く気配がなくなり、大河は焦れて腰を無意識に振っていた。 「誘ってるの?」 「ちが、おまえがっ」 「最高」 低く呟き唾液たっぷりの温かいしたが孔に入ってきて大河は声のない声で叫んだ。ずっと待ってた後ろの刺激に枕を抱きしめて耐えた。 どろどろに溶かされた後はいきなり指を二本入れられ呼吸が止まる。慣れてる体は馴染もうと大河の意思とは関係なくウネウネと動き、奥へと誘う。そして、敏感な場所を捉えた。 「っああああー!んっ、はぁっ、あぁあ!」 強く攻められ、大河は首を振って耐える。飲み込めない唾液が枕に吸収されていき、腰はもっと奥へと誠に向かって誘うようにゆれる。 「まこっ、もぉ、イきたいっ、入れてぇ」 「ん?何を?」 指を三本にしながら弱いところだけをせめられ、大河は勝手に涙が溢れる。 誠は服も乱さないまま、とぼけている。 「意地悪っ、すんな」 「聞きたい、大河さんの言葉で」 そんなおねだりされると弱い大河は、後ろを振り返り、必死で伝えた。 「マコの、おちんちん、大河に入れて?」 誠は一瞬固まった後、顔がブワッと赤くなった。大河から指を抜き服を投げ捨て性急に中にねじ込んだ。 「ッッァアア!!熱いっ!はぁ、んっ、はぁ、あぁあ!ッン、そこぉ」 「大河、可愛いよ、大河愛してる」 (急に呼び捨て?) 「んぁあ、っあ、っ、っあああ!!」 「は、俺の大河、可愛い、好き、愛してる」 壊れたスピーカーみたいにひたすら可愛い、好き、愛してるを繰り返す。そしていつもは年下感が残っているが、呼び捨てになっただけで大河はドキドキしっぱなしだった。 「ほら、ここ、好きでしょ?いっぱい鳴いて」 「っくぅ!っああああー!っあ、っあ!ああ!」 「すごい締まる…最高だよ大河。気持ちいい」 頭を撫でて褒められると嬉しくなった。もっと褒められたいと、腰に力を入れる。 「くぅ!…っぁ、はぁ、気持ちいい」 「は、おれ、上手?」 「上手だよ大河。今度は声を聞かせてくれる?」 「ん、分かった」 大河は自分から誠を抜き、ベッドに仰向けになって足を大きく開いて腰を浮かせた。誠を誘うように腰をゆるゆると振って誠を見上げた。 「マコ、ぐちゃぐちゃにして?」 「!!!」 「っぅああ!ッッァアアーー!!」 パタパタと大河のお腹に熱いものが飛び散るが気にしないまま大きな音でベッドを軋ませる。 イったばかりの大河を気遣う余裕もなく、獣のように大河に欲を放ち続けた。 「優一、迎えにきたぞ」 「タカさんっ、早くてよかった!」 優一たちのマンションに行き、優一の部屋を控えめにノックすると優一が胸に飛び込んきた。玄関で待ってたのか荷物もきちんと準備されている。 ぎぃっ、ぎっ、ぎっ (ぁああーー!まこっ!) (は、は、大河っ) 「…お前らの寮にルールはないのか?」 「知らないっ!もう早く出よう?俺もうダメなの、タカさんに触りたい」 「若いなぁーお前達。寮ではさすがにアウトだろ。」 「タカさん!もう行こ?」 「はいはい。」

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