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第19話 雑誌
「いらっしゃいませー」
午後8時。寮からこっそり出て書店に行く。デビューしてから一人で出歩くということはほとんどなくなった。あってもタクシーでの移動で用が済んだらすぐ帰宅。大河は町のガラスに写る自分をもう一度確認した。
(バレない、はず)
だんだんと冷えてきたこの頃。マフラーとマスク、ニット帽に丸い眼鏡。伸びてきた髪を一つに縛ったのがニット帽からちょこんとはみ出す。ロングコートで体型も隠して、欲しかったものを探す。女性誌のコーナーにはやっぱり複数のキラキラした女性達。
「見て!RINGのマコが今回の特集だってー!どうしよう、買っちゃおうかな?」
「私は来月の大河が出たら買おうかなぁ。その次はユウか!ユウのも見たいー!」
「先月の大地君のはすぐ完売したみたいだよ!マコと大地君は同じぐらい人気だから買わないと!」
「キャーなんかエッチな本買う男の子ってこんな感じ?なんか恥ずかしい!」
きゃっきゃとはしゃぎながらレジに向かうのを見送る。慌てて裏の男性誌のバイク特集を広げたが、気づかれてないようだ。
そう、大河がこっそり書店に来た理由は彼女らと同じものを買いに。来月号の特集が自分に回ってくることと、恋人のインタビューや写真をじっくり見たいと思ったからだ。もちろん、事務所にはたくさんある。あるが、大河はちゃんと自分のお金で、自分で買いたかった。
本棚には最後の一冊。先ほど、大河のが出たら買うと言った子もマコの特集を購入していた。残っていたことにほっとし、手を伸ばした時。
「「あ」」
大河よりも高い位置からの手に思わず手を引っ込めた。そしてその人も手を引いたところで2人の目があった。
「「あ」」
二人は無言で近くの個室で過ごせるカフェにきた。ここは優一とよく行く場所だ。
「あ…の。俺、寮にたくさんあるんで、どうぞ」
気まずい空気に耐えきれず大河は口を開き、一冊しかない雑誌をそっと遠ざけた。 真っ正面には78の楓。こちらも変装しているが、夜にサングラスは余計目立つ。 オシャレで定評のある78はスケーターブランドのニット帽やアウターが似合っていて、雑誌からそのまま出てきたようだ。
「いや、いい。別に買おうと思ってたわけじゃないし。」
「「……。」」
大河は心の中でため息を吐いた。まさかこの人に会うとは思いもしなかった。優一はプロデュースのことで部屋に篭ってる。それほど忙しいプロジェクトのメンバーに会うなんて。しかも、恋人を襲った張本人。
「あの…雑誌、あげるんで、その…。マコも怖がってますし、ああいう絡み、やめてもらえますか?」
恐る恐る大河は口を開いた。いつかは言わなければと思っていた。本人は言わないでほしいと言っていたがせっかく対面したのだから言うことは言おうと腹をくくった。
「ああいう絡み?」
「マコに、その…キスマークつけたりとか」
「何でお前に言われなきゃいけないの?」
楓がゆっくりとサングラスをはずしてじっと見つめてくる。ビビりそうな自分を叱咤し、大河も眼鏡をはずす。
「俺とマコ、付き合ってます。だから、もう手を出さないでください。」
「付き合ってたら何なの?アピールくらいいいだろ?決めるのはお前じゃない。マコだ。」
「アピールの域を越えてます。本人がどんなに傷ついているか、怯えているか気付いてますか?」
「アプローチの仕方が悪かったのは認める。だが、俺は本人から聞くまでアピールはするつもりだ。それにしても…お前、勿体無いなぁ」
「何がですか?」
「マコは抱かれたらもっと化けるのに」
楓は固まる大河にニヤリと笑って伝票を掴み、サングラスをかけた。雑誌をカバンに入れ席を立つ。
「じゃ、お言葉に甘えて雑誌はいただきます」
カランカランとドアが閉まる音とありがとうございましたーとの店員の声が聞こえる。大河は大きなため息をついて、味のしないカフェラテを飲み干してカフェを出た。寒い空気に少しモヤモヤが晴れて、散歩がてら近くのコンビニに行くと雑誌コーナーにあの雑誌があった。すぐに手に取って適当にお菓子とお酒を掴んでレジに向かった。
(買えた…!よかった)
はやる心を抑えて寮に帰り、部屋に入るとすぐに雑誌を開いた。
大人向けの特集でセミヌードの写真と共に、理想の夜や恋愛、キスやセックスについての考え方などのインタビューが載っている。 ドキドキしながらページをめくる。
(やっば!!!)
この顔は見たことがある。大河はこのページだけでも顔が真っ赤になった。ほどよく鍛えられた筋肉と綺麗な骨格の首のライン。濡れた髪から滴る雫と汗ばむ肌がカーテンの隙間から漏れる光に照らされている。ベッドに横たわって優しい顔でこちらを見る。まるで情事の後。この写真だけでも破壊力が半端ない。次のページは…とめくると風呂上がり風だったり、読者が押し倒された風のアングルやスーツを脱ぐところなど女の子が喜びそうなカットばかり。ただ、一つ気になる表情があった。
(マコの素だ。)
少し恥ずかしそうに目を伏せ、ベッドに横になるカット。それが真上から撮られているのだ。真上というとマコの上から撮っているということだ。青木の回の時の雑誌をリビングから持ってきて比べるも、そんなカットは無かった。
(マコは抱かれたらもっと化けるのに)
楓の言葉が頭をよぎり大河はモヤモヤと不安が募った。ただ最後のページのインパクトに全部持っていかれた。
(エッロ!!!)
伏し目がちの流し目で舌を出し、雄感丸出しの表情。大河はファンの子と同じぐらいドキドキして思わず雑誌を閉じた。
(あの顔を世間に出すなよ!バカ!)
大河はベッドに顔を埋めてバタバタと足を鳴らした。
(はぁ…かっこいい)
買ってよかったと雑誌をぎゅっと抱きしめる。ベッドに座り直して今度はインタビュー記事を読む。
・好きなタイプは?
一目惚れしちゃうタイプですけど、可愛いなぁと思うのはツンデレタイプかな。 素直じゃない子が素直になる瞬間がたまらないですね。あとは可愛い系よりはかっこいいというか綺麗系。背は高い子よりも低い子が好きです。
・相手のパーツでよく見るところは?
目です。目を見れば全部伝わると思うので。
・恋してる時はどんな感じ?
好きな人しか見えないタイプです。重いって振られることが多いです。
・抱く時はどんな感じ?
どうだろう。優しいつもりですけど雄感があるみたいです。
・どんな人に色気を感じる?
やっぱり目ですかね。目力がある人。上目遣いされると簡単に落ちると思います。笑
・甘えたい?甘えられたい?
どっちも!甘える方が多いかも。
・未来の恋人に一言
ずっとそばにいてください。
大河は勢いよく雑誌を閉じて憤死しそうだった。大河は次の撮影が恥ずかしくて恥ずかしくて仕方なくなって、またベッドに飛び込んだ。
「おはようございます。よろしくお願いします。」
「おはようございます!大河さん、はじめまして!カメラ担当の鈴木アリスです。よろしくお願いします!」
いよいよ撮影の日が訪れた。
挨拶に来たカメラマンが女性ということに驚いた。白に近いベリーショートの金髪に、色素の薄い顔でブルーのカラコンがよく似合う。上下黒のシンプルな服でダボっとした格好が様になっている。機材をテキパキと用意し、雑誌のライターさんや編集の方、メイクさんなど大勢の方がいる。少し緊張している大河だが、ジャズの曲が流れて少し落ち着く。
(マコの部屋で聞いたことあるやつだ)
メイクされていても緊張せず目を閉じて音楽に集中する。
「大河さん、スタンバイお願いします。大河さんの世間のイメージはワイルドとクールなのでそれでいきましょう!」
「はい。よろしくお願いします。」
簡易的なベッドに寝て着ていたバスローブを脱ぐとスタッフから感嘆の声が漏れたのが聞こえ、一瞬恥ずかしくなる。
「大河さん、身体見せつけてください」
「え?」
「1番負けたくない人を思い浮かべてカメラを睨んでください」
瞬時に浮かぶのは楓の顔だった。浮かんだ瞬間にシャッターがたくさん切られる。次に起き上がるように指示され、起き上がるとアリスがベッドに寝転んだ。
「大河さんから他に行きたいっていう人を引き止めてください。これが、最後かもしれませんよ?」
マコが楓のところに行ってしまったら、そう思った瞬間、カメラを向けるアリスの顔の横に手を置き、初めては苛立ち、だんだん悲しくなってくる。シャッターが止まって、はっとするとアリスが顔を真っ赤にしていた。
「あ…コンセプト、合ってました?」
「は、はい!あ、えーっと次は」
衣装チェンジになり誠はスーツだったのに対し、大河に用意されたのは大きめな白シャツにジーンズというラフな感じ。腕まくりをしてはだけた感じで怠くみえるように写る。またジャズの音に耳を傾けているとシャッターが切られていた。
「大河さん、腕まくりおろしてもらっていいですか?」
「あ、はい」
大きいシャツは指先まであって、小さいことをアピールするみたいで少し拗ねた。
「大河さん」
「ん?」
またシャッターが切られる。
「大河さん、大きいシャツ嫌ですか?」
「…別に。大丈夫です」
会話中にも写真を撮られる。
「これ、マコさんのリクエストです」
「えっ!?」
一瞬素になったところでものすごい勢いでシャッターをきられ、どんどん恥ずかしくなって俯いた。
「大河さん可愛いー!」
「うるさいですよ!」
スタッフもニコニコするぐらいからかわれて無事撮影が終わった。 インタビューでも恥ずかしいのを堪えてなんとか頑張った。
「大河さんおつかれ様でした!」
「はい、おつかれ様でした。ありがとうございました。」
「あの、次回はユウさんなんですが、メンバーだけが知ってるユウさんの表情とかいいところとかありませんか?」
アリスはきっと、メンバーの素を撮るために一生懸命リサーチしていることを知った。その頑張りに応えたくなるのは、青木も誠もそうだったようだ。
「ユウは可愛いイメージですよね?じつはギター持ったら完全に雄ですよ。かっこいいユウを見てほしいなぁって気がします。…あ、もしかして、この曲もマコからですか?」
「わぁ!よく気がつきましたね!リラックスできる曲はありますか?って聞いたらこれだったので。」
「なるほど!お陰でリラックスできました。ユウにはブルーウェーブの曲かけてあげてください。大ファンなんで」
ありがとうございます!とアリスは必死でメモを取った。その後、ユウさんには内緒でお願いします。とウインクされた。
(一生懸命な人だから、あんな表情たちを引き出せたんだな)
大河は自然とアリスにニコッと笑い、送迎車に戻ろうとするところを手をつかまれた。
「あの、私、大河さんの大ファンなんです!定期公演からライブに行ってました!この間のはチケットが落選してしまったので…今日ご一緒出来て嬉しいです!」
「そうだったんですね。ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。」
「あの!連絡先、交換していただけませんか?…あの、もし撮影の時とかに参考に…」
もじもじしながらも一生懸命に話すアリスに大河は微笑んで、連絡先を渡した。 アリスは泣きそうになりながらも全力で頭を下げてお疲れ様でした!と挨拶をしてくれた。
「ただいまぁー」
「おかえりぃ〜」
寮の部屋に戻ると誠がリビングでくつろいでいた。
「あれ?ユウいるのか?」
「ううん。いないよ?」
「ん?どうした?」
優一がいなきゃこの部屋に来ないのに、と疑問に思っていると、誠がじゃん!っと例の雑誌を持ってきた。
「大河さんに見て欲しくて!貰ってきた!」
「…ありがとう」
「あれ?興味ない?」
「今日、俺も撮影してきた。」
わぁ!と目に見えてテンションが上がった誠はどうだった?どうだった?としつこいが雑誌見ろと言って終わらせた。
「見たよ」
「え?」
「マコの特集」
「え?!本当?伊藤さんから貰ったの?」
「自分で買った。」
「えぇー!!!?」
誠が嬉しいのと驚きでテンションがマックスになっている。大河はだんだん恥ずかしくなり部屋に戻ると誠が付いてきて、鍵をしめた瞬間大河に飛びついた。ベッドには誠が表紙のあの雑誌。
「大河さん、俺、嬉しい」
「うん」
「どう…だった?」
「あんな顔、みんなに見せるなよ、バカ」
「〜〜っ!!可愛い!!大好きっ!!」
あの写真よりも甘い表情でじっと見つめられゆっくりとキスされる。大河も撮影でそんな気分になっているからかいつも以上に気持ち良さに支配された。
「いらっしゃいませー」
大河もこんな気分だったのだろうかとドキドキしながら本屋の女性誌コーナーに行く。ラスト一冊を取ってレジに行くとヒソヒソと声がする。
「あのイケメンの人、大河がタイプなのかな?」
「大河のやつ取り寄せしかないって言われたー!発売日に来たのにー!」
誠は聞こえないふりして購入し、急いで寮に戻る。青木や誠も有り難く完売になったが大河のは初日で入手困難になっていたようだ。あまりモデルとかやらない大河の貴重な特集ということで注目度が高かったようだ。 雑誌を開くと驚いて勢いよく閉じた。
(かっこいい!)
世間が持つ大河のイメージ通りのカットは男性的でとてもかっこよかった。身長は高い方ではないがバランスが良い。そして、誠も取り組んだ押し倒したようなアングルは2ページにわたる。
(苛立ちと悲しみ)
無意識だろうか、誰を思ったのか1番最初のワイルドさから表情が変わった。次のページは誠のリクエスト通りのもの。数カットは気だるい大人の色気があふれていた。更にめくると長い袖を拗ねたように見つめ、呼ばれて素で顔を上げた瞬間、そして恥ずかしそうに目を逸らし、袖から指先しか出ず肩までシャツをはだけさせ、少し上のアングルに目線を送る大河の連続カット。
(可愛い可愛い可愛い!!)
誠は想像以上のものが出来上がって何度も何度も見つめた。ふだん自分が見ている一瞬一瞬がこうして残った。誠は夢中でインタビューも読み進めた。
・好きなタイプは?
優しくて真っ直ぐな人。動物なら犬系。
声がいい人。俺をわかってくれる人。
・相手のパーツでよく見るところは?
目と手
・恋してる時はどんなタイプ?
なかなか素直になれない、かな。
気分屋がもっとひどくなる感じ。
・抱く時はどんな感じ?
相手のことしか考えてない
・どんな人に色気を感じる?
声がいい人
・甘えたい?甘えられたい?
…甘えたい、かな
・未来の恋人に一言
ずっとそばにいる
誠は雑誌に顔を埋めてニヤける顔を隠した。 ドキドキが止まらない。
(最後のやつって俺の一言へのレスポンスだよね?)
誠は急いで携帯電話を取り出した。
「もしもし、マコどうした?」
「大河さん!好き!大好き!愛してる!ずーっとそばにいる!」
「はっ!!?なんだよ急に!」
「雑誌のインタビュー!俺嬉しくて!」
「あはは!あー今日発売日なのか。買ったのか?」
「もちろん!最後の一冊ゲットしたよー!ずっと見ていられる!大河さんに会えない日はこれ見る!」
大河は嬉しそうにうん、うん、と相槌を打ち、ぼそっと会いたいと呟いた。
「大河さん、お仕事頑張って!俺も大河さんがいるから頑張れるから!」
「ありがとう。浮気すんなよ」
「しないよ!大河さんこそ!押しに弱いんだから気をつけてよね?」
わかった、わかったとクスクスと笑う。大河はご機嫌のようで誠も嬉しくなった。大河の撮影前にカメラ担当のアリスからいろいろ聞かれたとき、事細かに答えておいてよかった。電話を切ったあと、自分の撮影のことを思い出す。
(青木にも爆弾用意されてたしなぁ)
「ライブ後に恋人が待っていたらどうしますか?」
この質問に思わず乾いた唇を舐めたところが大きな反響をよんだ。自分が思っている以上に見たことない雄の顔だった。そして流れていた曲は大河がメインの曲。完全に青木チョイスがヒットしていた。スーツは編集部からのリクエストだったが、風呂上がりは青木のリクエストだった。
「マコちゃんの風呂上がりってなんか目のやり場に困る」
そんな事をよく言われていたから納得した。次号の優一のも楽しみだと思い、ふと、青木のを見返した。 青木は綺麗というイメージだった。神秘的とでもいうような清潔感に溢れている。夏号だったからか浴衣がとても似合っている。ただインタビューには少し胸が痛んだ。
・好きなタイプは?
可愛い系!元気で明るい子!芯をしっかりもっていて甘え上手な子!
・相手のパーツで見るところは?
顔 と腰
・恋してる時はどんな感じ?
自信がないから空回りするかな。
・抱く時はどんな感じ?
野獣?
・どんな人に色気を感じる?
ギャップのある人
・甘えたい?甘えられたい?
甘えちゃうけど本当は甘えられたい
・未来の恋人に一言
早く会いにきて
優一がまだチラつくのは仕方ないか、とそっと雑誌を閉じた。逆に優一のもので青木が傷つかないか心配になった。
1ヶ月経って次号の発売日の1週間前。
「マコちゃん!!見た?!ユウの特集!」
興奮気味に青木に部屋のドアを叩かれ、リビングに行くとレイと伊藤も雑誌を囲んでいた。
「あれ?伊藤さんまで!」
「いや、マコ、これはお前だって見たことないユウだぞ」
「伊藤さん、これ貰っていい?一冊だけ!おねがい!」
「これはすげぇなー。化けたわぁ」
全員が絶賛するユウの特集を開く。
「っ!?」
てっきり上目遣いの可愛い優一が出てくるだろうと思っていた。たぶんここにいる全員が。
出てきたのは濡れたシャツを羽織っただけで、窓際に座り立てた膝に腕をのせ、流し目でカメラを見る優一。開かれたシャツは肌にはりつき、間からは鍛え上げられた腹筋を晒す。いつも降ろされた前髪は後ろにかきあげられ、毛先からは水滴が滴る。
書かれているコピーには「可愛い、は俺がお前に言うセリフ」まさに男。男でもカッコイイと思うほどの出で立ちだった。
次のページのカットにはギターを夢中で弾いている優一。きっと大河のリクエストだろう。恐らく夢中になりすぎたのか呼ばれたときの目線だけあげた男らしい顔と、カメラに気付いていつもみたいにふにゃりと笑った顔のギャップ。
ベッドシーンは他のメンバーとは違い、逆に押し倒されたようなアングル。気だるそうな視線は事後のような表情。最後のページは腕まくらされているようなアングル。いつもの可愛い笑顔ではなく、大人の色気溢れた笑み。優一に抱かれた人はこの顔が見れるのかと錯覚するぐらいの画力。
「これは大きな話題になるな…。伊藤さん、もうタカさんに渡したの?」
「いや、まだ渡してないが。」
「いいんじゃない?タカさんはもっといろんなユウ見てるわけだし。」
青木が拗ねたように言うのを誠とレイは苦笑いした。伊藤は優一にも見せたいが、ずっとプロデュースのことをやっているから遠慮したそうだ。
インタビューはやっぱり、な回答ばかりだったが青木はルンルンと雑誌をめくっていた。
・好きなタイプは?
居心地がいい人
・相手のパーツで見るところは?
指とか手
・恋はしてる時はどんな感じ?
幸せ!
・抱く時はどんな感じ?
幸せ!
・どんな人に色気を感じる?
キスが上手い人
・甘えたい?甘えられたい?
どっちも!
・未来の恋人に一言
一緒に生きて行こうね
「優くんってインタビューだとあんまり喋らないよね」
「あー、残るから嫌みたいだぞ。その分ラジオではピーチクパーチクだ。」
「うわぁ…ユウやってくれたな…。俺けっこうプレッシャーだよ」
「最後はレイさんだねー!レイさん筋肉むきむきだからカッコ良さそうー!」
「いつも明るい雰囲気だから、クールなのがみたいなぁ」
レイは興味なさげに適当に頷いていたが、バラエティーの中でもいじられるぐらいイケメンさを発揮していた。そういえばアイドルだったな、と言われみんなの反応にひどい、と爆笑しながら応えていた。もともと知名度があったレイの特集も見事完売となり、RINGは全員完売を達成した。
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