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第39話 誘惑

「タカってなんだかんだ世話焼きで律儀で真面目だよね」 シュウトはにっこり笑って白ワインをコクリと飲んだ。個室の正面に座るタカはなんだよ急に、とチーズを口に運ぶ。 「僕にキスされてとても怒ってたんじゃないの?」 「あぁ。怒ってるよ。許してないし。」 「ふふ。怒ってるのにこうして僕と付き合ってくれるの」 「これは治療なの。お前が溜め込まないように。セッティングが遅かったからまた血迷った行動してるしな。」 タカが治療と称して開いた飲み会は、創作料理が出る静かなお店。個室や大部屋などがあり、業界では有名なお店だ。タカもシュウトに合わせて白ワインを飲み、頬杖をついてシュウトのその後を聞いた。 「進展は何もないよ。返信だってないし。」 「一応連絡はしたんだな?」 「うん。ソロで出したから聞いてほしいって」 タカはため息を吐いた。シュウトのコミュニケーションは非常にわかりにくい。これじゃ返信などしようがない。 「シュウト、相手に話しかける時とか、返事が欲しい時はある程度相手が何て返すか予想したうえで話すといいよ」 首を傾げるシュウトに苦笑いして、タカは続けた。 「明日晴れるかな?」 「さぁ?今日と同じく曇りじゃない?」 「ほら、答えやすいだろう?」 「へ?」 まだピンとこないシュウトに、ゆっくり説明する。天気というカテゴリーの中で、晴れるかどうか聞くと、答えはいくつかに絞られる。 「今日の夜空は星が出ているよ」 「へぇ、そうなんだ」 「だろ?」 「へ?」 「ただの報告と、質問の違いだ。返事が欲しけりゃ相手が返しやすいようにするべきだ。お前のは報告に近い。だから、相手が返したければ返すし、心の中でそうか、と思えばそれっきり。」 やっとピンときたのか、なるほど、とニコリと笑った。 「じゃあ、質問をした方がいいよね。ライブがあるよ、じゃなくて、ライブがあるから来てくれる?とか?」 「そうそう。で、あえて日程をこっちから提案する。何月何日の何時、相手に選ばせたら待てども来ない。そして相手がイエスかノーで答えられるようにするのも配慮の1つだ」 へー、と口を開けて聞くシュウトが珍しくて今度はタカが笑う。本当に初めて知ったようだった。 「で?お前は今どうしたいんだ?」 「会って話したい。」 「なら誘えばいい。ただ、相手が結婚してるならそれは無理矢理とか待ち伏せは絶対ダメだからな。」 「でもそうしなきゃ会えない」 「お前さぁ、人の都合ってのを考えろよ。全部がお前中心に進むわけないだろ。とにかく、返事が来ることを1ステージにしよう」 タカはシュウトのメールを添削し、OKがでたものをシュウトに送らせた。 「手がかかるなぁ本当に」 「ふふ、ありがとう。やっぱり僕の理解者はタカだけだよ」 「やめろやめろ。その手にはノらねぇからな。…お前あれから大河に手を出してないだろうな?」 「意外にガードが堅いんだよね。練習の時は素直で可愛いのに、終わった瞬間本当野犬みたい」 シュウトはちょっと面倒くさそうに言った。なんだかんだ思い通りにならないのがストレスのようだった。 「レイがどんなにいい子だったか分かって…。本当に今になって恋しいよねぇ。惜しいことしたなぁ」 「お前手当たり次第すぎだろ。早く彼女と話せたらいいな。」 「大河くん可愛いけど正直あまりタイプではないんだよねぇ。天才ってだけで。どうせ男の人抱くなら男っぽい人がいいなぁ」 「うるさい、こっち見るな」 シュウトの顔に手を当てて反対側を向かせるとクスクス笑う。 「いつから雑食になったんだ?知らなかった。」 「別れてから…。女の人が少し怖くなったからそういうバーに行ってからかな。」 二人でボトルを1本空けていろんなことを話し合った。結局後半は音楽の話ばかりになって、シュウトはご機嫌に帰って行った。 「あ、返事来たら教えてっていうの忘れた」 小さくなるタクシーを見送って、ほろ酔いには涼しく感じる夜道を歩く。繁華街の手前でタクシーを呼ぼうとしたところで見知った顔を見てそっと身体を隠す。 (美奈子さん…と…?) 美奈子と歩くのは今話題のシンガーソングライターのリョウだった。タカとは絡みが無いが、面白いアーティストだと思っている。打ち込みで作る楽曲はセンスが光り、タカも注目しているうちの一人だ。背が高く、ビジュアルもいいからとても絵になる二人だ。 (美奈子さんにも恋人が…。これで一安心だな) 二人が煌びやかなホテルに入って行ったのを見送って、少しほっとして駅まで歩こうとその場から離れた。 「あれ!?タカさんじゃね?おーい!」 久しぶりの声にげっ、と眉をしかめ、振り返る時に愛想笑いをする。 「コウ、久しぶりだな」 「タカさん〜最近この辺来ないっすね?俺寂しいっすよ〜!この間紹介してもらったライブスタッフもクビになりやした!すみません!」 ホストの格好をしたコウは事務所の元練習生だ。素行が悪く不祥事が多すぎて退所となった。実力やビジュアルは申し分ない、ただただ素行が悪いだけだ。 「いいよ。元気そうでなによりだ。」 「楓が最近ツレナイんっすよー。言ってやってくださいよ〜!またマコちゃん狩りにいこうって言ってんすけどねー?」 「やめとけって。お前が唆すから楓がどんどん変な方向いってんだぞ。これはゲームじゃないんだから」 「まぁ楓はもともとクソ真面目ですからねー!俺らのアソビにもいつもノれないヤツだし。だからアドバイスしてやってんすよ!」 「お前のアソビやアドバイスは犯罪と隣り合わせだから気をつけろよ?お前は本当そこだけなんだから」 またまたぁ、と腕を取られ、コソッと囁かれる。 「オーディションのプロデューサー、マツリ?あいつヤバイっすよ」 「え?」 「タカさんのオンナ、ヤられないように気をつけた方がいいっす」 「っ!?どういうことだ? 」 「素人動画候補にあがってますよ」 ケータイで見せられた内容に驚愕する。 候補にはたくさんの芸能関係者も並ぶ中、NEW!と候補に名前があがっており、書き込みの期待値も高い。 「あいつ、俺んダチのとこのヤツにも同じことしてたんで、そろそろ仲間とボコろうかって話してんすよ」 「マツリさんが斡旋を?」 「さぁ?詳しくは知らないっすけど絡んでますし、これ見た瞬間、タカさんのオンナって思って!楓やタカさんに噛み付くくらい、強いかもだけど、おチビちゃんだし力弱そうだから団体相手なら回されて撮られてチャンチャンっすよ!警告しようとしても78がだーれも捕まらないからとりあえずタカさん見つかってよかったっす!」 言い終わった後にニコニコして手を出すコウに、変わらないなぁと苦笑いして万札を2枚出す。 「毎度!また何かあれば情報渡すんで!タカさん連絡先…」 「だから、教えないって言ってんだろ。お前といたら金がいくらあっても足りなくなるよ。早く夜から戻ってこいよお前。そろそろ本当に浸かるぞ。またなんかあったら昼の仕事紹介するから」 「えー?昼儲からないっすもん!今店でナンバー3にまであがれたんで!これで食ってきますわ!」 「くれぐれも犯罪者になるなよ」 「ウィースッ!お疲れ様っす!」 繁華街を抜けて駅前でタクシーを拾う。 (厄介なのに狙われてんな…どうしたもんか) 「タカさん、おかえりなさい!」 「ただいま」 優一が先に帰ってきた時はこうして出迎えてくれる。嬉しそうにハグしてくれるのが最高の癒しになっている。 「ぅわっ!酒臭い!」 「シュウトと飲んできた。」 楽しめた?と自然に上目遣いになるのを、やっぱりいつ見ても可愛いと思い思わず頭を撫でると、気持ち良さそうにふふっと笑う。 風呂上がりなのか少し湿った髪からシャンプーの香りが漂う。 「優一、お前やっぱ可愛い」 「あはは、酔ってるー!」 「そうかも」 酔ったせいにしていろんなところにキスをするとくすぐったそうに笑って受け止める。なんだか今日は特に、可愛い、と思うのが止められない。 「タカさん、酒臭いってー」 「んじゃ一緒にお風呂行こ」 「やだよ、俺さっき入ったもん…ちょっと!聞いてる?」 ロングコートをソファーに投げ、髪をほどきながら優一の手を引く。入浴剤が入ったままのお湯に満足して服を脱ぐと、優一もしぶしぶ脱ぎはじめた。 「今日は特別に洗ってあげる!」 そう言って椅子に腰かけるように言われ、座ると温かいシャワーと、小さな手が頭を洗ってくれる。 「美容師さんってこんな感じなんだね」 楽しそうにシャンプーとリンスをする優一に任せて気持ちよくて眼を閉じる。 今度はスポンジで泡立て、ゴシゴシと洗ってもらう。力一杯に洗ってくれるのが面白くて笑いをこらえる。あわよくば、と思っていたが全くそんな雰囲気ではなく、優一は洗うことに使命感をもって懸命に取り組んでいた。 (どこまで完璧主義なんだよ) 洗い流したところで達成感に満ち溢れた優一にお礼と称して洗ってあげようとするも笑顔で交わされた。 「タカさんのことなんてお見通しだよ〜。酔っ払いのタカさんは歯止めきかないから今日はシないよ。あの日の次の日、どれだけ怒られたと思ってるの?」 いつも受け入れてくれる優一が悪戯っ子みたいに笑って、ごゆっくり、と風呂場から出て行こうとする。たしかに、酔っているからか優一が欲しくて欲しくてたまらない。可愛い、触りたい、抱きたい、そんな思考しか浮かんでこない。お湯に浸かりながら、優一、と呼び止める。 「じゃあキスだけしよ」 「ふふっ、甘えんぼだなぁ。いいよ」 キスが好きな優一はキスだけ、という言葉にまんまと釣られた。 そんなはずはないのに。 「んっ…んぅ…っはぁっ、ンッ」 本気の舌技で優一の口内を責める。今までと違うキスに優一は気持ち良さそうにされるがままだ。 (年下相手にマジになるなんて…俺もヤバイな。でも、今日は絶対に抱きたい) 「はっ…優一…んっ…優一」 「っぁんっ、んぅ…はぁ…っちゅ…ぅぁ」 とろとろになったところで唇をはなし、優一が弱い表情で誘う。 「こんなキス…知らない。ずるいよ」 「優一…」 「はぁ…ヤダ、ダメだよ…明日撮影だもん、今日はだめなの」 「優一、抱かせて」 「…っ!?」 優一の顔が真っ赤になる。小さな手を取って見つめたまま指先に舌を絡める。甘噛みしたり吸ったりすると、目が潤んで息荒く見つめている。 (後もうひと押し) お湯から上がって、バスタブの縁に腰かけて足を開く。優一に見せつけるように痛いほど立ち上がったものをゆっくりと扱いていく。 「見て?優一。お前ん中入りたくて、…ほら、こんなになってる」 「タカさん…やめてよ、何?今日…」 「はぁっ…お前の、温かい中の、狭いところ、お前の好きなとこ思いっきりかき回してやるのに」 「っはぁ…タカさん…」 扱く手がどんどんグチュグチュと音を鳴らし始め、優一の口は半開きのまま、タカを凝視している。優一のものも固く上を向き、おちてくるのも時間の問題だった。それにニヤリと笑い、さらに優一を追い詰める。 「優一の好きな奥、飛びそうになるところ、いっぱい突いてやるよ…あそこでイくときの優一の顔がたまらない…あの顔見せて…俺で最高に気持ち良くなって、1番美しいお前の顔」 ゴクリと優一の喉がなる。後はもう優一のGOサインを待つだけ。見せつけるようにゆっくりと腰を振り、できるだけエロく見えるように扱く。 「タカさん…」 「はぁ…優一の、余裕ない声も、イク時の声も聞きたい。はぁっ…俺ので気持ち良くなって」 「…一回だけって約束してくれる?」 「いいよ?」 「タカさん…抱いて」 「待ってました」 優一を勢いよく抱き寄せ、先走りで濡れた左手にボディーソープを足して性急に指を入れると、ビクビクと背を逸らし絶叫する。優一の興奮は最高潮だった。めちゃくちゃにかき回し、すぐに2本、3本と指を絡める。泣き声に近い喘ぎ声が反響して、タカの息遣いも今までにないほど荒くなる。 「ぁあっ、あぅ、んっんっんっーっ、んっ」 「優一、優一、」 タカは優一に入れることしか考えられなくなり、不安定な場所から湯船に戻る。そしてその怒張したものを優一な苦手な対面座位で中に押し込む。 「っぅあああーーっ!やだっ!お湯っ!」 お湯も一緒に入ってるのかヤダヤダと絶叫するのを無視して、中を堪能する。やっと入ることが許され、タカは興奮が全く抑えられない。いつもは馴染むまで待ってあげられるが、1秒も待てない。 「っきぁああう!!っあああ!っあああ!」 逃げる腰を無理やり引き込んで優一が好きなところをガンガンに責める。パシャパシャとなるお湯の音が激しさを物語る。ビクビクと異常なほど跳ねまくる身体に吸い付き、ピンク色の乳首に噛み付くと頭をぎゅっと握られ、大きく胸を逸らした。 「ーーっっ!!っ、はぁっ、はぁっ」 「優一、ナカでイッた?」 急速な絶頂にはくはくと息をし、涙を溜めた焦点が合わない目はぼんやりとどこかを見ている。まだ立ち上がったままのそれはお湯の中で真っ赤になっている。 のぼせるといけないと思い、一回抜いて立ち上がらせるも腰が立たない優一を持ち上げ壁に手をつけさせる。 「1回って優一のじゃなくて俺に合わせていいんだよな?」 全く聞こえていない優一の右脚を持って、立ったまま後ろから突き上げる。 「っああああー!あっんっんっんっ」 「ふふ、お湯出てきた」 「あっあっあぁっはぁっ!ンゥッ!」 律動をはじめると物凄い水音が響く。 顔を後ろに向かせて先ほどのようなキスをすると、左脚がカクカクとして今にも崩れそうだ。中はキュンキュンと締め付け、キスをやめて大きく息を吐くと、さらにキュンキュンと締め付ける。 「優一…」 「んぅっ!っああ!あぁあ!」 「優一、愛してる、可愛い、好きだ」 言葉をかけるたびに締め付けが強くなるのが気持ち良くて、耳を舐めながら吐息混じりに囁き続ける。 「はぁっ、はぁっ、んっ、あっ」 「優一、俺の声好きなの?」 ビクッと反応し、振り返った顔は気持ち良すぎて泣きそうになってうるうると見つめてくる。 「好きっ、好きっ、いつも、エッチの時、何も言わないのに、今日、なに」 「へー、そっか、早く言ってよ」 「んぅっ」 「はぁ、締めすぎ…優一、気持ちいい…」 「はぁっ、はぁっ、」 「もう一回して、俺のを締め付けて」 「はぁっ、は、んぅっ」 「っぁああ!っあ、優一最高」 聞かせるようにわざと耳元で話したり、声を出すと、呼応するように声を出し、腰が浮き、優一のものはトロトロと雫を垂らす。 「可愛い。優一。俺の声でこんなになったの?」 「っああああー!あっ、はぁっ、はぁあっ」 上を向いて雫を垂らすソコをグチュグチュと扱くと、途端に首が反って脚がガクガクと震え、中はぎゅうぎゅうに締め付ける。 「はぁ…気持ちいい、優一の中最高」 「はぁっ、はぁ!はぁっ!!っタカさんっ!」 「ん?」 「もぅっ!イク!イク!出ちゃうっっーーっ!!!」 美しい肩甲骨を見ながら手にかかる温かいものにニヤリとする。 「はぁっ、はぁっ、タカさん。約束。一回だけだから…抜いて?」 「誰が一回って言ってないだろ?俺、ほら、まだだよ」 「んぅぅーー!!」 思いっきり前立腺を潰すと、ヘロヘロの優一はもうされるがままだ。入れたまま抱き上げ、洗面所に行き大きな鏡に写す。 「見て、優一。お前が俺に抱かれてるところ」 顔を上げた優一は、見たことない自分のトロンとした顔や抱かれてる姿、そして色気ダダ漏れの恋人に真っ赤になり凝視している。鏡の中の優一を挑発するように目を見て、ゆっくり乳首に手を這わし、クリクリと抓ると優一はぎゅっと目を閉じる。 「優一、見て。ほら、赤くなって固いよ。」 「んぅっ!やだっ、やだってばぁ」 「ほらここ、俺がピッタリ入ってる、見える?お前の中が俺を気持ち良くしてるんだよ」 優一は恥ずかしさに耐えきれず泣き出した。可愛い、とキスして今度は左脚を持ってガンガン突き上げる。 タカは鏡から目を離さず、エロい2人を堪能した。優一は限界が近いのか顔を真っ赤にして、開ききった口からはトロリと唾液が流れ、タカの興奮を更に煽る。徐々に力が入る中にイかせようと好きなところを突く。 「んっああ!っあああん!っああ!」 「優一、見て、俺もお前も気持ちいいって顔」 その声に鏡ごしに優一と目が合う。その瞬間に強く奥を抉る。 「っぅあああーーー!」 パタパタと床に優一が溢れ落ちる。ビクンッビクンッと跳ね、中は搾り取ろうと蠢く。痙攣が治るとガクンと崩れ落ち、すごい音を立てて優一から出された。 (こいつのイく顔、エロすぎる) 「はぁっ、はぁっ、もうっ、無理だよっ!タカさん、もぅっやめて…明日に響くから、明日撮影だからっお願い、また怒られちゃう」 泣きながらもうやめて、と縋ってくる姿に、凶暴な感情が溢れてゾクゾクしてくる。 「泣かないで優一」 「タカさん…」 優しい声音にほっとしたのか抱きついてくる身体をしっかりと包み、耳元で囁く。 「まだイけるだろ?」 残酷な響きに、目を見開き、えっ?と怯えたように見上げる顔を固定して息もできないくらいキスをする。腰がたたない優一を抱き上げ、濡れたままの身体を寝室のベッドに投げ、脚を広げ一気に貫いた。 「ーーッぁあああ!!」 首を左右に振る優一の汗が飛んで、ペロリと舐める、優一の苦手な奥だけを責めると、肩に爪を立て、逃げようと腰をひく。 「やだぁあぁー!おかしくなるぅっ!こわいっ!もうっ!やめてよぉ!!そこばっかりっ!っああ!!タカさんっ!タカさんってばぁ!!」 強い快感に怖がってる優一にも興奮して抵抗する腕を押さえつけて、真っ白な首筋や鎖骨に吸い付くと、はっとしたように抵抗を強める。 「ダメぇっ!タカさん!明日撮影!痕はダメ!!お願いっ!付けないで!!やめてよぉ!!」 「はぁっ!はぁっ、優一っ!優一っ」 泣きながらやめて、と叫ぶのを、セックスに集中していないと苛立ち、快楽に落としこもうと、深く差し込んだままぐるりと回し小刻みにに刺激すると優一の脚が空を蹴る。 「っっくぅあ!…っああ!っぁああ!そこっ、だめぇっ、もうっ…おかしくなるっ、もうっ、クるっ、ぁあああ!」 「はぁ、はぁっ、出すぞ」 「ぁあああーーーッ!!!」 咄嗟に抜いて優一のお腹や胸にぶちまけると、腰が抜けそうなくらいの気持ち良さに浸る。落ち着いてハッと周りを見回すとものすごい惨状に絶句する。優一は意識を飛ばしていて涙の跡と、首と鎖骨に大量の痕。 (またやってしまった…) 慌ててタオルをお湯で濡らして拭き取り、服を着せて布団で包んだ。酔いが完全に覚めたタカはひたすら焦っていた。髪を撫でているとまだムラムラする自分に呆れ、落ち込んだ。 「っ!」 曲が浮かんで急いでスタジオに篭り、徹夜で1曲を完成させた。 「あ、はい、もしもし」 「タカ、今大丈夫か?」 「ラジオ前だけど…伊藤さん、どうかした?」 ラジオの本番前に伊藤からの電話で優一に何かあったのかと不安になる。 「お前たちのこと、口出しするつもりは無かったが、仕事に支障が出てるから言わざるを得ない。」 「え?」 「今日ユウは撮影があるってお前に言ったと言っている。知っててあの状態にしたんだよな?」 「えっと…?」 「あと、お願いしたがやめてくれなかった、とも言ってる。」 サァッと血の気が引いた。あの後夢中で曲を作って、スタジオを出たら優一はもう仕事に出ていた。 「キスマークだけじゃない、声も枯れてるし、足腰もたたない状態と熱も出して現場に来た。お前と違ってユウはまだまだ新人だ。こんなんじゃユウの仕事が減る。お前らしばらく距離を置け。ユウは青木のところで預かる。いいな。」 「ちょっと待って、優一は」 「ユウは泣いて謝っていたし、距離置くのも嫌だと泣いていたが、今回ばかりは2人とも反省してもらう。…ここだけの話、ユウによくない噂が流れてる。誰でもヤれるってな。本人は知らないが、そうスタッフの中で思われるような状況は今後にも関わる。」 「……。」 「ユウのためだ。一回距離置いて頭冷やせ」 ブツッと切れた電話にタカはしゃがみこんだ。慌てて優一に連絡するも電源が入っておらずコンタクトは取れない。恐らく伊藤が預かっているはずだ。 泣いて謝っていた、と聞いて胸が張り裂けそうに痛んだ。 (ごめん優一。俺のせいで迷惑かけた…) 酔った時が歯止めがきかないなんて、優一と付き合ってから知って、自分でも自覚がなかった。謝りたくて、会いたくてひたすら凹む。優一もそうとう怒られたのだろうし、足腰立たない状態でも向かったのは、あの完璧主義の性格から考えると辛かっただろう。 (美奈子さんの言う通りだな。) この人しか見えなくなるのは悪いクセだ。仕事を落とすのは有り得ない、プロ意識だのと説教しておいて自分が恋人の仕事を台無しにしてしまっている。 (頭冷やそう) 引きずりながらもラジオのブースに行った。

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